日本の構造的な問題を示す代表的なことばが『政官業の癒着』である。事業者を示す「業」の代わりに、財界を示す「財」をつかって『政官財の癒着』とも言われる。汚職の原因として、最初に持ち出されるキーワードである。

小泉内閣までの改革論が盛んだった時代においては、週刊誌が好んで使っていたが、第1次安倍内閣に代わったとたん、改革論は立ち消え、いつの間にか使われなくなってしまった言葉だ。

現在では、『政官業の癒着』に代わり、『鉄のトライアングル』という言葉が見られるようになった。言葉そのものにネガティブ要素はないが、その意は、汚職の原因、または、改革されるべき慣行としての『政官業の癒着』を示している。

問題の中枢国全体の問題としての図本来の民主的法治国家
鉄のトライアングルは、報道のタブーに守られることによって、盤石となっている。そして、国民は、選挙のときにだけ民主主義を取り繕う儀式に加担させられている。

「失われた30年」の背景

大企業との蜜月

鉄のトライアングル(政官業)の『業』セクションに参加できるのは、大企業だけだ。政治家は票と利権を、官僚は規制権による影響力と天下りを、『業』セクションに参加する企業に求める。とうぜん中小企業など、相手にされない

高コスト構造

政と官が、あらゆることに規制の網をかけ、自由な競争が抑制された結果、大企業の市場寡占が続く。政治家にとっても、官僚にとっても、大企業で寡占された方が都合がよいからだ。特に天下りを目論む官僚たちにとって、NTTのように絶大なシェアを持つ会社があった方が望ましいのである。

そして日本は国際競争力を失った

こうして鉄のトライアングルは、規制緩和を阻み、自由な競争を阻害する。そして巨大企業は、市場を寡占し続ける。その結果、日本は、時代の変化についていけなくなり、国際競争力を失ったのだといえる。

さらに*0年を失わないために、政と官が、事前規制による統治をしたがることの問題を考えたい