裁判所に提出したPDFベースの訴状をHTML化した。
補正箇所は、補正前後と補正方法が分かるようにした。
右側のアイコンは、(被告)準備書面1における訴状各項目に対する認否を示しています。
:認める
:一部認める
:一部認め、一部否認
:不知
:評価は争う
:否認する
:争う
:否認ないし争う
訴状
2023(R5)年3月27日
札幌地方裁判所 岩内支部 御中
原告 野村一也
汚職調査の妨害に対する国家賠償請求事件
原告
磯谷郡蘭越町富岡1035-3
野村 一也(電話番号 090-4836-4467)
被告
磯谷郡蘭越町蘭越町258番地5
蘭越町(電話番号 0136-57-5111)
蘭越町町長 金秀行補正あり
磯谷郡蘭越町蘭越町258番地5
蘭越町議会(電話番号 0136-55-7831)
蘭越町議会議員 難波修二補正あり
目次
第1 請求の主旨
補正後補正前補正方法
- 被告蘭越町は、原告に対し、金100万円を支払え
被告難波修二は、原告に対し、金100万円を支払え - 訴訟費用は、被告らの負担とする
- との判決、ならびに、仮執行の宣言を求める。
- 被告らは、連帯して、原告に対し、金200万円を支払え
- 被告蘭越町は、原告に対し、謝罪せよ
- 被告蘭越町議会は、原告の陳情に対する審査をやり直せ
- 訴訟費用は、被告らの負担とする
- との判決、ならびに、仮執行の宣言を求める。
第2 請求の背景
(1) 原告の汚職調査の対象となる次の4施設の敷地は近接している。≪甲111≫
- 国民宿舎雪秩父蘭越町営の宿泊施設であったが、日帰り温泉施設に建て替えられた。
- チセヌプリスキー場雪秩父の付帯施設として整備された町営スキー場。なお、雪秩父とチセヌプリスキー場は、「国民宿舎雪秩父並びに特殊索道事業特別会計」として、ひとつの特別会計にまとめて運営管理されていた。なお、特別会計は、ホテルとスキー場を分離しておらず、スキー場にかかる人件費や電気代を、ホテルと分離して評価できない状態にあった。
- チセハウス1950年に道営施設として設立、1963年に蘭越町営化された。1969年、施設管理人の織笠巌氏に建物が譲渡され、同時に蘭越町と土地の賃貸借契約が締結された。民営化後、チセハウスは、ユースホステルとして運営されていた。
- 大湯沼自然展示館1995年、9500万円の費用をかけて建設された蘭越町が保有する建物。2013年までは、有料の自然展示施設として蘭越町が運営していた。
(2) 次の2つの施設は、山内勲が処分に関与した町有地である。
- 湯里公営住宅跡地湯里駐車公園に隣接する土地。2017(H29)年10月2日、蘭越町は、一企業の求めに応じ、公売を経ることなく、坪1500円で売却した。
- 湯里駐車公園内の貸地(民間の収益物件が所在)湯里駐車公園の北ブロックに隣接する土地。蘭越町は、公園の真ん中の土地を年間6万1437円(令和3年度)で貸している。2021(R3)年11月1日、蘭越町は、借地人の求めに応じ、借地人が、収益目的で借地上の建物を賃貸することを認めた。
- 宮谷内留雄は、1988(S63)年11月13日より2016(H28)年までの7期28年間、2016(H28)年11月12日まで蘭越町長を務めた。
- 金秀幸は、宮谷内留雄の後任となった2016(H28)年11月13日より現在に至るまで、蘭越町長を務めている。2016(H28)年8月31日までは、蘭越町副町長を務めた。≪甲1≫
- 山内勲は、2016(H28)年12月20日より現在に至るまで、蘭越町副町長を務めている。2016(H28)年12月19日まで、蘭越町総務課長であった。≪甲1≫
- 小林俊也は、2017(H29)年当時、蘭越町総務課長であった。
- 今野満は、2021(R3)年度において、総務課企画防災対策室長であった。
- 坂野考洋は、2021(R3)年4月の段階で、総務課総務係係長であった。
- 冨樫順悦は、2007(H15)年5月より現在に至るまで、蘭越町議会議員であり、2015(H27)年5月より現在に至るまで蘭越町議会議長を務めている。
- 難波修二は、2015(H27)年5月より現在に至るまで、蘭越町議会議員であり、2022年当時、総務・文教常任委員会の委員長であった。
- 永井浩は、2015(H27)年5月より現在に至るまで、蘭越町議会議員である。
第3 汚職調査により判明した事実
- 1967(S42)年7月12日、蘭越町のチセヌプリスキー場の敷地の貸付け願いに対し、倶知安林務署長は、若林行雄の調査を受け、蘭越町への貸付けを認めた。若林の「貸付願林野調査票」には「蘭越町が施行体であるので信用確実である」と記されている。≪甲132≫
- 2007(H19)年、チセハウスは廃業した。以降、放置され、廃墟化が進んだ。なお、チセハウスは、1950年に道営施設として設立され、1963年に蘭越町有施設となった。1969年、当時の施設管理人が建物を譲り受け、敷地を蘭越町から賃貸し、営業していた。
- 2013(H25)年1月18日、北海道新聞は、施設の老朽化によるチセヌプリスキー場の休止を、蘭越町が検討していることを報じた。≪甲113≫
- 同年2月6日、施設の老朽化により国民宿舎雪秩父の運営見直しを蘭越町が進める中、株式会社星野リゾートは、20億円超を投資して、『世界に誇る「日本一の露天風呂」の旅館』の開発を提案した。≪甲91・103≫
- 同年1月29日、北海道新聞は、札幌市在住のサザンレイクスヘリスキージャパン代表の市村剛志が、チセヌプリスキー場の存続を求める署名活動を行っていることを報じた。≪甲114≫
- 同年3月4日、市村剛志は、チセヌプリスキー場の存続を求める7566名の署名と請願書を蘭越町に提出した。≪甲92≫
- 同年3月7日、市村剛志は、チセヌプリスキー場の存続を求める陳情書を蘭越町と蘭越町議会に提出した。≪甲92≫
- 同年3月14日、蘭越町議会は、市村剛志氏の陳情を総務・文教常任委員会に付託した。≪甲95≫
- 同年3月31日、チセヌプリスキー場は、営業を休止した。≪甲96≫
- 同年4月8日、星野リゾートの社長は、同伴者を連れて蘭越町を訪問し、蘭越町が提案を受け入れてくれることを熱望した。≪甲102≫
- 同年6月10日、星野リゾートの社長は、同伴者を連れて蘭越町を訪問し、開発スケジュールを提示した。宮谷内留雄は、星野リゾートが事業を中断する可能性について、「我々の首をすげ替えなければならないほどの町政になる。」という言葉も用いて、警戒の意を示した。≪甲103≫
- 同年6月28日、山内勲は、星野リゾートの提案を断る文書を起案した。≪甲105≫その理由は、蘭越町議会全員協議会の意見を参考にしたとされている。ただし、蘭越町議会は、当時から、現在に至るまで、町議会全員協議会の議事録をいっさい作成していない。
- 同年9月18日、総務・文教常任委員会において、以下が報告された。≪甲93≫
- 工事費のほぼ全額について過疎債が利用できる
- リフト更新により運行経費について相当な削減効果がある
- 自衛隊からリフト使用料等の増額が期待できる
- 過疎債は法に基づく地方債。自治体は3割の負担で事業が可能
- ただし、蘭越町議会は5年で廃棄しており、議事録も資料も残っていない。
- 同年9月、蘭越町議会は、チセヌプリスキー場の存続を求めた市村剛志の陳情を採択した。≪甲93≫
- 同年12月から2014(H26)年1月までの間、蘭越町は、チセヌプリの営業を休止し、検討委員会や町議会常任委員会と協議を行い、今後の運営を検討することを、町政懇談会に参加した町民に伝えた。≪甲94≫
- 2014(H26)年5月9日、山内勲は、チセヌプリスキー場の敷地所有者たる後志総合振興局森林室と、同スキー場施設を民間企業に譲渡した場合の土地の賃貸借に関する協議を行い、5月12日に起案書にて報告した。なお、協議の記録には、蘭越町が民間企業に賃借権を譲渡する場合、連帯保証人を要することが示されている。≪甲5≫
- 同年同月19日、チセヌプリスキー場の売却の検討は、第11回目の「国民宿舎雪秩父改築等町内検討委員会」(以下「検討会」という)にて行われた。以後、15回開催される検討会で、チセヌプリスキー場の売却も検討された。検討会の委員長は金秀幸、副委員長は山内勲が務めた。また、小林俊也も同委員会の委員であった。なお、11回目の検討会において、蘭越町が町政懇談会においてチセヌプリスキー場の売却を説明しただけで町民への説明を果たしといえるかどうかについて、町議会が疑問を呈したことが報告された。≪甲87≫
- 同年11月、蘭越町在住の今野順哉氏は、チセヌプリスキー場存続に関する提案書を蘭越町に提出した。≪甲88≫
- 同年12月8日から2015(H27)年4月30日までの144日間、蘭越町は第1回目の公募を実施した。なお、2014(H26)年5月9日における北海道森林室との協議で、北海道森林室が必要とした連帯保証人を、蘭越町は公募条件として示さなかった。≪甲2≫
- 2015(H27)年4月2日の応募当時JASDAC上場、同年秋に東証1部上場するUTホールディングス株式会社(以下「UTグループ」という)は、32ページに及ぶ提案書を添えて、公募に参加した。そして、山内勲らは、UTグループとの交渉を始めた。≪甲3・4≫
- 同年6月23日北海道新聞は、UTグループへの譲渡がきまったことと、UTグループの事業計画を報じた。≪甲115・116≫
- 金秀幸らは、UTグループに対し、契約間際になって、公募条件にない連帯保証人を求めた。≪甲41≫
- 同年10月18日、UTグループは、公募条件変更(連帯保証人追補要求)に対し、来庁の上での協議にて譲歩を求めた。なお、当該協議の席において、宮谷内留雄は、UTグループの社長らに対して「それはお宅たちの会社の都合で言ってるけれど、うちのほうはそんなの関係ないんだから。総務課長が言ったように、それをこうだああだというふうなことであれば、これは最初から契約が無かったものとして、我々も議会に報告するし、次の候補も来ているんだろう。」「外国の方に話を掛ければやってくれるところはいくらでもあるよ」などと言い放った。≪甲41≫
- 同年10月20日、蘭越町は、UTグループの譲歩要請のうち、譲渡金額の要請を断った。≪甲7≫
- 同年10月22日、UTグループは、Eメールにおいて、譲歩を求める理由が公募条件の変更に起因することを明記したうえで、譲渡金額の軽減等を再要請した。≪甲8≫
- 同年10月23日、山内勲は、追加の支援(譲渡金額の軽減等)を断ること、および、譲渡の協議を白紙撤回することを起案した。そして、金秀幸もその起案を承認した。≪甲9≫
- 同年10月26日、蘭越町は、UTグループに対し、譲渡金額の減額等の不承諾を回答するとともに、応募の白紙撤回を促す文書を送付した。≪甲10≫
- 同年10月26日、山内勲は、UTグループが正式に応募の取り下げの意思を表明していないにもかかわらず、再公募を起案した。金秀幸と宮谷内留雄は、山内勲の起案を承認した。≪甲13≫≫
- 同年11月2日、UTグループは、応募の白紙撤回を申し出た。≪甲11・12≫
- 2015(H27)年11月27日、山内勲は、正月明けの1月29日を公募期限とする第2回目の公募を起案し、金秀幸はこれを承認した。≪甲13≫
- 同年12月15日、北海道新聞は、蘭越町がUTグループとの譲渡交渉を打ち切ったことを報道した。≪甲117≫
- 年の瀬が迫る2015(H27)年12月18日から年明けの2016(H28)年1月29日にかけての43日間、蘭越町は第2回目の公募を実施した。≪甲14・118≫
- 第2回目公募が応募者なく終了してから32日後の2016(H28)年3月2日、山内勲は、売却金額を5分の1に引き下げることを起案し、金秀幸はこれを承認した。≪甲15≫
- 2016(H28)年3月7日から同年4月22日までの47日間、蘭越町は第3回目の公募を実施した。≪甲16・119≫
- 第3回目の公募には、有限会社JRTトレーディング(以下「JRT」という)を含む計6社の申し込みがあった。≪甲17・18・19≫JRTは、ペック・クリストファー・マイケル氏が連帯保証となることを、8ページの提案書のうち2ページを用いてアピールした。ただし、公募当時、蘭越町はJRTの提案内容を公表しなかった。本請求に別添するJRTの提案書は、後に原告が文書開示請求をしたことによって、ようやく蘭越町が明らかとしたものである。
- 同年年5月11日、山内勲は、「国民宿舎雪秩父改築等町内検討委員会の報告について(第15回)」を起案し、「チセヌプリスキー場譲渡にかかる申込概要一覧」を作成した。そして、JRTが、20-21シーズンに索道施設への3億円の投資を事業予定表に記載していたにもかかわらず、「チセヌプリスキー場譲渡にかかる申込概要一覧」において、山内勲は、単に「再開を目指す」という文言に留めた。≪甲19≫
- 同年5月13日、山内勲は、「チセヌプリスキー場譲渡希望者からのヒアリング実施について」を起案した。≪甲20≫
- 同年5月23日、山内勲は、「チセヌプリスキー場譲渡希望者からのヒアリング結果について」を起案した。≪甲21≫
- 同年5月21日、蘭越町議会は、JRTへの譲渡関連議案を可決した。≪甲120≫
- 同年6月13日、森林室長室において、山口森林室長・土田管理課課長・大島主幹、蘭越町山内総務課長、JTRの代表ほか2名は、スキー場の権利譲渡に係る打合せを行った。ただし、北海道は黒塗りによって、議事録の内容欄のいっさいを判読不能とした。≪甲122≫
- 同年7月某日、蘭越町の記録によれば、JRTは、森林室管理課大島主幹が求めたキャットスキーの運営計画(コースや安全対策の詳細・図面)に対し、次のように回答したことが記されている。≪甲75≫
CAT スキーとの表記ですが、弊社の考え方としてはあくまで索道の代替手段として雪上車で利用客を運搬する計画です。主な商品は初心者レッスンとなりますので、コース内には5人のスクール生に対し1名のインストラクターが必ず同行し安全は確保されており、また雪上車の走行ルートはコースセパレートを行い、またコースの一番端を走行するので安全対策は問題ないと想定しております。別紙チセヌプリスキー場コースセパレート予定図参照
- ただし、蘭越町は、JRTが森林室宛ての文書に添付されているはずの「チセヌプリスキー場コースセパレート予定図」を開示しなかった。なお、JRTは、現実には初心者レッスンを開催しておらず、終日全山貸切型の運営を行っている。そして、雪上車の走行ルートだけではなく、すべてのコースへの立ち入りを禁止している。
- 同年7月5日、アジアの経済ニュース配信の株式会社NNAは、シンガポールのMMP RESOURCES LTDが、JRTトレーディングを買収するとの報道をした。≪甲79≫
- 同年7月8日、JRTは、後志振興局森林室に送付した文書において、JRTが買収されることを否定しなかった。≪甲81≫
- 同年同月同日、JRTの代表と山内勲は面談した。JRTの代表は、買収を否定せず、合併の可能性を示唆した。山内勲は「会社のことはよくわからない」「道有林との協議が終わり次第、契約をしたい」と伝えた。≪甲79≫
- 同年同月29日、JRTは、蘭越町に送付した文書においてはJRTが買収されることを否定した。≪甲80≫
- 同年8月24日、森林室主幹大島司は、連帯保証人の資力確認資料として、次の二つのみを求めることを、山内勲に通知した。≪甲127≫
- 金融機関発行の『黒塗りにより判読不能』
- 市町村発行の所得証明3か年分
- なお、実際に事業譲渡契約において連帯保証人となったMMP RESORUCES JAPAN株式会社は、設立が同年9月23日なので、この段階では、ペック・クリストファー・マイケル氏の書類が提出されたことになる。
- 同年8月24日、山内勲は、弁護士法人佐々木総合法律事務所の川村弁護士に事業譲渡契約書の相談をした。なお、山内は、事業譲渡契約書の原案に、転売を禁止する条項も、譲受人に契約違反があった場合の買戻し特約も、そして、蘭越町が採用したプロポーザル提案の履行を担保させる条項も、織り込まなかった。≪甲97≫
- 同年8月同24日、川村弁護士は、山内勲に対し、事業譲渡契約書案をWORD形式のファイルとして、Eメールにて送付した。≪甲97≫
- 同年同月25日、山内勲は、弁護士法人佐々木総合法律事務所の佐々木弁護士に対し、事業譲渡契約書のリーガルチェックの依頼を起案した。なお、山内が送った事業譲渡契約書は、前日に川村弁護士とのやり取りのあった案とは大きく異なっており、やはり、転売を禁止する条項も、譲受人に契約違反があった場合の買戻し特約も、そして、蘭越町が採用したプロポーザル提案の履行を担保させる条項も、織り込まれていない。≪甲98≫
- 同年同月30日、佐々木弁護士は、山内勲の依頼に対し、譲渡契約書のリーガルチェックの結果を送付した。≪甲99≫
- 同年9月13日、森林室において、山口室長・土田管理課課長・大島主幹、JTR担当者1名、ペック・クリストファー・マイケル氏らと打合せを行った。ただし、北海道は黒塗りによって、議事録の内容欄のいっさいを判読不能とした。≪甲129≫
- 同年10月28日、後志振興局観光生活課は、次のことを決定した。
- スキー場の国立公園事業を廃止させること。
- ゲレンデの笹刈り、施設の改修等は、都度に許可申請で処理すること。
- 国立公園内で営業することに関する運営計画書等。
- つまり、後志振興局は、JRTが公園事業者ではないにもかかわらず、北海道から借りた国定公園内の土地で、CATによるスキー場営業を行うことを容認したことになる。なお、後志振興局による上記決定は、環境省自然環境局国立公園課専門官浜一朗のメールを根拠としているが、そこには「自然公園法のスキー場として認可することは困難である。」とされているにすぎない。≪甲126≫困難であるから認可しないのではなく、困難であるから認可なしに容認することを決定した後志振興局は、独自の判断をしたといえる。
- 同年10月28日、蘭越町は、JRTと事業譲渡契約を締結した。≪甲25≫
- 同年同月同日、蘭越町と北海道、JRTとJRTの連帯保証人は、「契約者の地位の承継に関する契約」を締結した。なお、JRTの連帯保証人は、8枚の提案書中の2ページに渡って詳細が示されたペック・クリストファー・マイケル氏から、MMP RESORUCES JAPAN株式会社に置換えられた。≪甲17・24≫なお、MMP RESORUCES JAPAN株式会社は、連帯保証人として認められる一般的な要件を満たしていない。資本金は5万円、契約1カ月前の9月23日に設立されたばかりの会社である。また、代表の佐藤文美は、JRTの総務部長でもあり、JRTの代表カナハン・クレイトン・アンソニーの配偶者である。さらに、MMP RESORUCES JAPAN株式会社の所在地であるニセコ町字曽我885番地3は、かつてカナハン・クレイトンが住所を登録していた地である。さらに付け加えると、JRTが北海道バックカントリークラブという屋号で運営する事業の本拠にもなっている。とどめは、当時、クレイトン・カナハンがJRTの代表取締役としての名刺には、所在地が「北海道虻田郡ニセコ町曽我885‐3」と記載されている。≪甲24・140・174・≫
- 同年12月16日、JRTは、蘭越町に対し、プロポーザル提案にない「スキー場貸切り」運営を行うことを通知した。≪甲85≫
- 2016-17シーズン、JRTは、プロポーザル提案にない1日全山貸切り型のCATツアーだけを開始した。同時に、ツアー参加者以外の者が、敷地内に立ち入ることを禁止した。≪甲26・27・28≫
- 2017(H29)年1月、ニセコなだれ情報の新谷暁生氏は、JRTがスロープから他の登山者を排除していることを批判した。≪甲68・69≫
- 同年7月5日、北海道新聞は、JRTの自然公園法違反を報じた。≪甲133≫
- 同年同月13日、蘭越町とJRTは、北海道新聞の報道に対する対応を協議した。その中で、金秀幸は、JRTに対し、チセヌプリスキー場に隣接する大湯沼自然展示館の運営を内々で依頼しており、すでに蘭越町議会にも根回しが済んでいることに言及した。≪甲134≫
- 同年7月14日、後志振興局長勝木雅嗣は、JRTがスキー場敷地で行った伐採が自然公園法第32条および第20条第3項ほかに違反するとして注意し、環境保全と安全に関する計画書の提出を求めた。≪甲135≫
- 同年7月18日、蘭越町議会広報誌「らんこし」No168(8月15日号)は、金秀幸は、JRTから閉鎖中の大湯沼自然展示館の活用計画を受け取り、山内勲を窓口として、話しを進めていることを明らかにした。≪甲137≫
- 2018(H30)年9月5日、JRTは、後志振興局森林室に対し、スキー場事業を別の会社に譲渡する予定があることを伝えた。同議事の記録は、2日後の9月7日に山内勲にメールで送られた。なお、MMP RESORUCES JAPAN株式会社の代表は、佐藤文美から、クリス・ペック(ペック・クリストファー・マイケル)に変更されている。≪甲78≫
山内勲は、2018(H30)年9月5日の段階において、JRTが、転売(再譲渡)の意思を明らかにしたことを、知っていたことになる。JRTが転売(再譲渡)を表明した2018(H30)年は、新型コロナウイルスによる世界的な感染が広がるより1年以上前である。
なお、この記録≪甲78≫は、2022(R4)年になって、振興局森林室が開示した文書によって明らかになった。 - 2019(R1)年6月11日、チセハウスの借地権者は、小林俊也(当時蘭越町総務課長)と面談し、廃屋を住宅に改修して、居住したいとの意向を伝えた。≪甲106≫
- 同年6月13日、チセハウスの借地権者は、数名を同伴の上、小林俊也に面談し、廃屋を宿舎にしたいとの意向を伝えた。≪甲107≫
- 同年7月4日、金秀幸は、チセハウスの借地権者と面談し、「具体的な計画があれば相談に応じる」としたうえで、チセハウスの跡地利用については、民間活力による開発を検討中であることを告げた。≪甲108≫
- 同年同月26日、チセハウスの借地権者は、数名を同伴の上、小林俊也(当時蘭越町総務課長)と面談し、廃屋の撤去が完了したことを報告した。また、将来的な活用を計画していることを伝えた。小林俊也は、相談し合いながら進めていくことを告げた。≪甲110≫
- 同年11月13日、2016(H28)年10月28日に締結された「契約者の地位の承継に関する契約」の連帯保証人を、MMP RESORUCES JAPAN株式会社からヨウテイ・インベストメンツ・ピーティーワイ・リミテッドに変更するための手続きが行われた。≪甲86≫
- 2020(R2)年3月31日までに、チセハウス跡地の賃貸借は解除された。そのときから蘭越町が活用を検討できる状況にあるにもかかわらず、金秀幸らは、チセハウス跡地が町に返却され、町が活用できる状態にあることを、現在にいたるまで町民に広報していない。
- 同年5月27日、蘭越町役場3階会議室において、原告は、金秀幸、山内巌らに対し、チセヌプリスキー場の公募売買についての取材を行った。≪甲22(動画)・23(反訳)≫
- 原告は、質問の目的と内容を、事前に文書で通知した。≪甲22-0≫
- JRTが提案と異なる事業をしていることに対し、提案どおりの事業を行うよう求めるべきではないか、という原告の質問に対し、金秀幸と山内勲は、ぬらりくらりと否定した。≪甲23(反訳11-17ページ)≫
- 山内勲は、チセヌプリスキー場譲渡に係る申込概要一覧、および、譲渡契約書を作成したのが山内勲自身であることを認めた。なお、双方に書類には、リフトの再開について、期限を設けず、「目指す」と記されている。≪甲23(反訳11-17ページ)・20-2・25≫
- 2021(R3)年2月12日、原告は、冨樫順悦(当時蘭越町議会議長)に対し、チセヌプリスキー場の売却にかかる入札談合行為と背任疑惑の真相究明を求める陳情書を提出した。≪甲57・58・59・60≫
- 2021(R3)年11月27日の文書開示において、小林俊也(当時蘭越町総務課長)は、、同年10月頃にチセハウスの建て直し等の有無を尋ねた原告の質問に対し「ない」と答えていたにも関わらず、実際には、相続人らと建て直しの打合せをしていたことが露呈した。≪甲175-2(音抜粋)、-3(反訳)≫
- 2022(R4)年5月12日、蘭越町は、写真も平面図も添えず、現状も賃料も明示しないわずか6行の文字列で、大湯沼自然展示館のプロポーザル型公募を開始した。なお、2017(H29)年7月13日の記録には、金秀幸がJRTに大湯沼自然展示館の運営を内々で依頼し、議会にも根回しをしたとの発言が記録されている。≪甲134(7ページ)≫
- 同年5月19日、北海道は、原告の文書開示請求に対し、5月17日付け道有林第183号にて、一部を開示した。≪甲151≫
- 同年6月15日、原告は、5月17日付け文書において北海道が為した文書の不存在および非開示に対し、審査を請求した。≪甲152・153≫
- 2023(R5)年12月3日、蘭越町が富岡地区で開催した町政懇談会において、原告は、町とJRTとの議事録がほとんど残されていない理由を質問した。山内勲は、担当者が雑談だと思ったら議事録は残さない、と説明した。≪甲173-1・-2≫
- 2023(R5)年1月20日、原告は、北海道情報公開・個人情報審査会第二部会に対し、審査請求事案に係る意見陳述を行った。
第4 請求の原因(損害賠償請求に至る経緯)
- チセヌプリスキー場譲渡先公募に対する情報開示請求
- 2019(R1)年3月15日、原告は、蘭越町長に対し、蘭越町がチセヌプリスキー場を売却した際における次の3つを含む公文書の開示を請求した。
ウ 購入を申し出た事業者の提案文書エ 売却先の選定理由またはそのプロセスを示す文書オ 蘭越町が売却先を決定する際に作成した稟議書。ただし、決定に関わった担当者の名前がわかる文書であること。≪甲34≫
- 2019(R1)年3月29日、蘭越町は、原告の請求の一部非開示を決定した。なお、公文書一部開示決定通知書中「開示しない部分の概要及び理由」欄の概要には、「当該法人等の競争上の地位が不当に損なわれると認められる箇所及び選定に係る検討に支障があると認められる箇所」と記してあった。※当該決定により開示しない部分(会社名、代表者、住所、資本金、運営提案等、収支予定表、連帯保証人)が黒塗りとされた。
- 2020年3月、原告は、山内と面談し、同スキー場の譲渡に関する取材を行った。山内は、原告に対し、以下のことを述べた。
ア 運営が開始された2016-17シーズンには、数十件の苦情が蘭越町に寄せられたことを述べた。イ 苦情に対し「苦情は土地所有者たる北海道に言うべき」との主張をした。ウ 苦情する者の中に裁判を仄めかす者があったことを嘲笑した。
- 同5月27日、原告は、金秀幸と山内勲を取材し、事前に文書で伝えていた次の質問を行った。
JRTが事業計画書で3億円の投資を事業計画として示したにもかかわらず、その投資を行われない場合について尋ねます。a. JRTが簡素なロープトウを設置することによって公益性を主張し、引き続き全山貸切り型のCATスキー主体の運営を継続する場合、町はそれを容認するのか。b. JRTが全山貸切り型のCATスキー主体としながら、朝1-2回程度のCATによる搬送サービスを提供することで公益性を主張する場合、町はそれを容認するのか。
- 同年10月20日、原告は、蘭越町議会補欠選挙に立候補した。≪甲70≫
- 同年同月23日と24日、原告は、『チセヌプリ問題』について演説会を実施した。≪甲71≫
- 2021年3月7日、原告は、蘭越町内の北海道新聞購読者に対し、『チセヌプリ問題』を主題とした政治広告(第1弾)を行った。≪甲72≫
- 同年同月7日、原告は、蘭越町内の北海道新聞購読者に対し、『チセヌプリ問題』を主題とした政治広告(第2弾)を行った。≪甲73≫
- 金秀幸らの情報不開示に対する審査請求
- 蘭越町は、3回目の公募において、それぞれの提案内容のみならず、選定基準と選定プロセスの一切を、町民に公開にしなかった。
- 2015(H27)年12月、チセヌプリスキー場の譲渡先決定の記事が北海道新聞に掲載された。記事には「正直ほっとしている」という山内勲の言葉のほか、「5年後にもリフトを更新」と、リフトの再開が記された。≪甲61≫
- 2019(H31)年3月15日、原告は、選定基準と選定プロセス等の情報を開示することを求めた、
- 同年3月29日、金秀幸らは、原告の文書開示請求について、非開示を決定した。≪甲62中の3および4≫
- 2021年12月1日、原告は、金秀幸らの決定を不服として、蘭越町に対し、公文書非開示決定処分に対する審査請求書を提出した。≪甲51・59≫
- 同年同月10日、蘭越町は、原告の審査請求に対し、弁明書を提出した。≪甲63≫
- 同年同月11日、原告は、蘭越町の弁明書に対し、反論書を提出した。≪甲64≫
- 2021(R3)年6月27日、蘭越町情報公開審査会は、蘭越町に対し、蘭越町が非開示と決定した部分のうち、法人等に関する情報で、あって、開示することにより、当該法人等の競争上若しくは事業運営上の地位又は社会的な地位が不当に損なわれると認められるものを除く部分を開示すべき、との答申をおこなった。≪甲52≫なお、答申の「第6 実施期間に対する意見」には、次のことが記された。
- 蘭越町情報公開審査会の答申に基づいて、蘭越町は、公募選定における申込概要一覧と提案書を開示した。ただし、提案書は、8割以上が黒塗りとされた。
町が行う企画提案型のプロポーザルにあっては、法人等から提出される企画提案書等は、公募する時点でその権利、取り扱いを整理し、それを明示したうえで提出を受けるべきであったと考える。
- 蘭越町議会に対する陳情
- 2021(R3)年2月12日、原告は、チセヌプリスキー場の売却にかかる入札談合行為と背任疑惑の真相究明を求める陳情書を、蘭越町議会議長冨樫順悦に提出した。≪甲57・58・59・60≫
- 陳情人(原告)の陳情は、総務・文教常任委員会(委員長難波修二)に審議が付議された。
- 同委員会は、審議に先立って、原告と蘭越町のそれぞれに対し、口頭陳述調査を行うこととした。
- 陳情人と同委員会は、以下の事前協議を行った。
- 陳情人は、委員会の公開を求めたが、委員会はそれを拒否した。
- 陳情人は、陳述調査にて自分が説明する様子を動画に記録することを求めたが、委員会はそれを拒否した
- 開催当日、陳情人は、公平性を保つために、委員会が録音するなら、陳情人も録音することを求めたが、委員会はそれを拒否した。
- 陳情人は、法律家でなければ理解困難な部分が陳情に多くあることから、委員会が弁護士を手配し、説明に参加させることを、議会事務局に求めたが、委員会はそれを拒否した
(5) 同年6月30日、同委員会で、陳情人の口頭陳述調査が行われた。≪甲43≫
- 委員会は、陳情人の説明に30分しか与えず、延長を求める陳情人の要求を拒んだ。≪甲43≫
- 陳情人の説明後、永井浩は、「ただの誹謗中傷だ」「裁判所に行くべきだ」といった主張を繰り返した。≪甲43≫
- 総務・文教常任委員会の委員長たる難波修二委員長は、永井浩の独演を許す一方、永井浩に対する陳情人の反論を一方的に制止し、陳情人調査を終了させた。≪甲43≫
- 同年7月8日、陳情人は、蘭越町議会に対し、上申書で謝罪を求めた。≪甲50≫
- 同年8月3日、冨樫順悦と難波修二は、上申書に文書で回答した。≪甲65≫
(6) 同年7月21日、同委員会は、蘭越町を代表して山内勲副町長の陳述調査を実施した。≪甲44≫
- 同年9月2日の午後4時35分から午後5時50分までの15分間、総務・文教常任委員会は、同陳情に対する議事を行った。≪甲45≫
- 同年9月15日、総務・文教常任委員会は、陳情の不採択を議会に報告した。≪甲66≫
- 同年9月21日、町議会は「陳情の審査結果について」を陳情人に送付した。≪甲51≫
- 同年11月、町議会は議会だよりNO.184に審査結果全文を掲載した。≪甲66≫
- 同年12月14日、原告は、審査経緯を示す全ての文書を熟読した後、蘭越町議会に対し、「陳情の審査結果に対する異議申立書」を提出した。≪甲56≫
- 同年12月21日、蘭越町議会議長富樫順悦は、原告の申し立てを審議しないことを決定し、「陳情の審査結果に対する異議申立書について」を原告に送付した。≪甲67≫
- 原告が蘭越町に求めたチセヌプリスキー場以外の文書の情報開示請求
- 2021(R3)年4月6日、蘭越町は、原告が請求した湯里公営住宅跡地の公売にかかる文書の公開を決定した。≪甲166・167・168・169・170・171・172≫
- 同年4月9日、蘭越町役場副町長室において、原告は、湯里公営住宅跡地の公売にかかる文書ほか、行政文書に対する質問を行った。≪甲142-1(音全て)・-2(音抜粋)・-3(音抜粋)・-4(音抜粋)・-5(反訳)・-6(反訳)・-7(反訳)≫
- 原告は、JRTが選定プロセスにおける提案とは異なる事業をしていることに対し、是正を求めるべきではないかと質問した。山内勲は、提案から契約に論点を逸らすばかりであった。≪甲142-2(音抜粋)・-5(反訳)≫
- 原告は、山内勲が契約に論点を逸らすので、山内勲が作成した譲渡契約書において、他の公有財産の譲渡契約書にある買戻し特約が外されていることを挙げ、不正を疑われて仕方ないと指摘した。山内勲は、選定プロセスにおける提案、現に行われる事業をチェックする必要はない、と言い切った。≪甲142-2(音抜粋)・-5(反訳)≫
- 山内勲は、原告の陳情のタイトル「チセヌプリスキー場の売却にかかる入札談合行為と背任疑惑の真相究明を求める陳情」について、「主観だけ」「弁護士立ててやる」「あなたとしゃべったって、不毛の議論」などと言い放った。≪甲142-2(音抜粋)・-5(反訳)≫
- 山内勲は、原告が使った「黒幕」という言葉に対し、不快感を表明した。原告はその意図を「立場上、言いたくても言えないことだってあるさ。それを僕はね、おもんぱかってね、そういう言い方をしたつもり。どっちかというとね、山内さんのカバーをしてあげようと思ってね、そういう言い方をした」と説明した。それでも山内勲が納得しないので、原告は、「それは撤回します。大変失礼しました。」と、正式に発言の撤回と、謝罪を表明した。また、原告は、次のように付け加えた。「僕が言わんとしてるのはね、ただ単に、上下関係があるからね、上司に言われて、やらざるを得なくて、自分の、意思に反して、やらざるをえなくてね、後から聞かれても、ちゃんとしたことは自分では言いたいけど答えられないってことは、多々あるということを、僕は言ったつもり。山内さんの、立場をおもんぱかって。」≪甲142-3(音抜粋)・-6(反訳)≫
- 山内勲は、議題とは関係のない原告の税金滞納を指摘した。≪甲142-4(音抜粋)・-7(反訳)≫
- 総務課坂野孝洋は、発言の前後関係を省略することによって、まるで原告が、根拠なく、思い込みだけで、独りよがりな主張をしたかのような記録を作成した。≪甲142-8、-9(音抜粋)、-10(反訳)≫
(3) 同年8月3日、原告は、蘭越町公式ホームページリニューアル公募に係る以下の文書の開示を請求した。≪甲178≫
1) 検討委員の所属・氏名
2) 3社のプロポーザル業者の選定理由
3) 3社のプロポーザル内容
4) 検討委員がプロポーザルの評価・選定をした内容
5) 業務委託契約の内容
2) 3社のプロポーザル業者の選定理由
3) 3社のプロポーザル内容
4) 検討委員がプロポーザルの評価・選定をした内容
5) 業務委託契約の内容
(4) 同年8月12日、蘭越町は文書の一部を開示したが、選定委員会の議事録は、第5回目だけが開示された。また、プロポーザル内容については、非開示理由の該当箇所を黒塗りにして開示されるのでなく、文書そのものが開示されなかった。≪甲182・160(音全て)・161(音全て)≫
(5) 同年8月13日、原告は、総務課工藤伸也に対し、8月3日の請求において、黒塗りがあったとしても、請求対象文書を開示することを求めた。≪甲162(音全て)≫
(6) 同年8月17日、総務課工藤伸也は、金町長を含む担当者と協議のうえ、原告の求めを拒絶した。同日、原告は、仕方なく、再請求を行った。≪甲180補正あり≫
(7) 同年8月18日、今野満(総務課企画防災対策室室長)は、原告の開示請求対象となる複数の文書に対し、蘭越町が非開示理由の該当箇所を黒塗りにして開示するのでなく、請求対象文書そのものを秘匿したことは、山内勲の指示によることを供述した。≪甲157-1(音全て)、-2(音抜粋)、-3(反訳)、甲158-1(音全て)、-2(音抜粋)、-3(音反訳)訴状補正書4による補正訴状補正書5による補正≫
(8) 同年9月2日、原告は、蘭越町役場3階会議室において、山内勲、渡辺満、今野満、坂野孝洋に対し、文書開示の仕方に対する質問を行った。≪甲177‐1(音全て)、-2(音抜粋) 、-3(音抜粋)、-4(音抜粋)、-5(音抜粋)、-3(音抜粋)補正あり 、-7(音抜粋)、-8(反訳)、-12(反訳)補正あり、-10(反訳)、-11(反訳)、-12(反訳)、-13(反訳)≫
- 山内勲は、『間接民主主義』という言葉を持ち出し、議会にさえ話を通せば、町民一人一人に説明する必要はない、といった旨の持論を展開した。≪甲177-3(音抜粋)、-9(反訳4-5ページ)≫
- 山内勲が、情報公開審査会の答申を理解していなかったこと、および、蘭越町情報公開条例の基本的なことを知らないことが露呈した。それらを理由に、公文書開示のやり直しが決定した。≪甲177-3(音抜粋)、-9(反訳)6-7ページ)≫
- 原告は、山内勲が作成したチセヌプリスキー場の譲渡契約書において、買い戻し特約を入れなかったことを追及した。追及に対し、山内勲は、「時間がない」という理由で答えなかった。≪甲177-6(音抜粋)、-9(反訳)1-2ページ)≫
- 原告は、山内勲に対し、山内勲が「黒幕」という言葉を執拗に繰り返すことについて抗議したが、山内勲は取り合わなかった。≪甲177-6(音抜粋)、-9(反訳)2ページ)≫
- 山内勲は、原告が町民税を滞納していることを大勢の前で非難した。≪甲177-6(音抜粋)、-12(反訳)補正あり≫
(9) 同年9月14日、原告は、今野満に対し、9月2日の山内勲の言動を理由に、山内勲が正常な話し合いのできる状態ではないと指摘し、次の機会以降、金秀幸に同席するようを求めた。≪甲163(音全て)≫
(10) 同年9月21日、今野満は、原告に対し、金秀幸が同席しないことを伝えた。≪甲165(音全て)≫
(11) 同年同月同日、原告は、町長に同席を求めるため、蘭越町役場町長室を訪問したが、金秀幸が接客中であったため、原告が町長室の近くで待っていた。そこに、山内勲が話しかけてきたため、原告と山内勲は、応接室に移動し、面談した。
- 審査請求における口頭陳述において、まるで原告が「黒幕だべ、黒幕だべ」と罵ったかのように、山内勲が供述したことに対し、説明を求めた。≪甲44(20ページ目)・159-2(音抜粋)、-6(反訳)≫
- 原告は、山内勲が原告の取材に対しては、そもそもリフトの再開を条件にしていないとしながら、なぜ、北海道新聞の取材に対しては、リフトが5年後の再開されることを記事にさせたかを尋ねた。山内勲は、「そうゆう表現をしていないと思う」「テープ(音声記録)に残してくれれば(よい)」旨を述べた。≪甲159-3(音声抜粋)、-7(反訳)≫
- 原告が根拠を説明しているにもかかわらず、山内勲が『(原告による)決め付け』と繰り返した理由を尋ねた。山内勲は、「あなたの根拠じゃないですか」と『(原告による)決め付け』を正当化した。≪甲159-4(音抜粋)、-8(反訳)1ページ≫
(12) 山内勲との面談後、原告は、蘭越町役場町長室を訪ね、金秀幸に上申書を手渡し、内容を確認するよう求めた。しかし、金秀幸が封を開けようとしないので、原告は、副町長の言動に問題があるので、同席するように口頭で求めた。しかし、金秀幸は「副町長が言っていることは、町長が言っていることだと思ってもらって構いません」と言って、同席を拒否した。≪甲186-1(音全て)、-2(音抜粋)、-3(反訳)≫
(13) 同年9月24日、役場3階会議室において、やり直しの公文書開示が行われた。
- 原告は、やり直しの要因は、審査請求における答申を山内巌が理解していなかったことと、今野満が理由も告げず開示拒否をしたことを指摘し、窓口となった今野満に謝罪を促した。山内勲は、今野満は、上司に従っただけで、責任は山内勲自身にあると主張し、今野満の謝罪を遮断した。≪甲176-2(音抜粋)、-6(反訳)≫
- 今野満は、採用となったipnetの企画立案書を開示すればよいかどうかを原告に尋ねた。原告は、請求どおりの「全ての書類」を求めた。≪甲176-3(音抜粋)、-7(反訳)≫
- 原告は、ホームページリニューアル公募で採用となった事業者と、小林俊也が公募前に面談した記録を残さなかった理由を尋ねた。小林俊也は、「単なる情報収集であって、残すほどのものではない、という判断」で記録を残さなかった、答えた。≪甲176-4(音抜粋)、-5(音抜粋)、-8(反訳)、-9(反訳)≫
(14) 同年10月1日、今野満は、原告に電話し、開示請求書を書き直すことを求めた。≪甲188(音全て)、-2(音抜粋)、-3(反訳)≫
- 今野満は、9月24日の公文書開示おいて、原告が「ipnetだけの文書を公開すればよい」と言った、と主張し、原告の説明に耳を貸そうとしなかった。
- 原告は、そもそも、2回目の公文書一部開示決定通知書の「請求に係る公文書の名称又は内容」欄が改ざんされていることを指摘した。≪甲187≫
- 今野満は、改ざんの指摘に対し、「いやいや、後出しジャンケンじゃないですか?そこをネチネチネチネチと、じゃ、あの場で言えばよかったんじゃないか?」と原告に責任を転嫁した。≪甲183-3≫
(15) 同年10月8日、原告は、3回目の開示請求をした。≪甲189補正あり≫
(16) 同年10月26日、役場3階会議室において、3回目の公文書開示が実施された。その中で、原告は、山内勲が「黒幕」という言葉を執拗に繰り返すことに対し、不快感を表明し、謝罪を求めた。山内勲は、悪びれる態度ひとつ見せなかった。≪甲190-2(音抜粋)、甲190-2(反訳)補正あり≫
(17) 同年、山内勲と坂野孝洋は、今後の公文書開示を、面談ではなく、文書とするよう求める文書を、原告に送りつけた。
第5 責任原因
補正後補正前補正方法
- 原告は、被告蘭越町と被告難波修二に対し、以下に示す理由をもって提訴した。
- 被告蘭越町に対しては、訴状第5の2より第5の5に示した蘭越町職員らの不法行為について、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償を求めるものである。
- 被告難波修二に対しては、訴状第5の6の(1)から(5)に示した難波修二の関わる行為は、蘭越町議会議員として、原告が提出した陳情を誠実に処理しなければならない(請願法5条)にもかかわらず、それを怠っていることを不法行為として、民法709条に基づいて損害賠償を求めるものである。
- 被告蘭越町および蘭越町議会は、以下に示す公務員と議員らが原告に対し職務中になした違法行為について、国家賠償法第1条に基づき、原告に生じた損害を賠償する義務がある。
補正後補正前補正方法
- (蘭越町副町長)山内勲
- 山内勲が、原告に対して為した以下の行為は、名誉棄損罪(刑法第230条)、強要罪(刑法223条)に該当することが思料される。
- 原告が黒幕という言葉の意味を明確にし、かつ、その発言を撤回したにもかかわらず、蘭越職員および蘭越町議会に対し、原告に悪い印象を与えるための材料として黒幕という言葉を執拗に繰り返した。≪甲142-3(音抜粋)・甲142-6(反訳)・甲177-12(反訳)補正あり≫
- また、山内勲は、蘭越町議会においては、次の弁明をなした。
- 山内勲は、原告が町民税を滞納していることを、他の職員の前で暴露し、非難した。
彼はですね、入札談合行為と背任疑惑の真相究明なんていうタイトルで、全然俺らの・ ・・ ・・人の意見を聞いて、自分の考えを述べて、お互いにこうしていきましようなんていうスタイルではなく、徹底的にこいつらはもう疑惑の、僕のところに来て彼は言いますからね、黒幕がいるんだべ、黒幕がいるんだべと言うんですね。失礼なことを言うなといって返すんですけども、そんな感じです。頭から。ですからそういう前提に成り立っているこれがあるということは、僕らもちょっと穏やかではないなという気持ちにはなりますよね。前回お話聞かれて皆さん方どういう印象受けたかわかると思いますけども。 甲44の20ページより山内勲発言の一部を抜粋
- 工藤信也は、理由なく、原告の公文書開示請求を理由なく拒絶した。この行為は、公務員職権乱用罪(刑法193条)を犯したことが思料される。
※訴状第4の4の(5)と(6)(22ページ) - 今野満は、被告人を対象に、侮辱罪(刑法第231条)に該当すること行為を犯したことが思料される。また、公文書一部開示決定通知においては、原告の請求内容を改ざんした。この行為は、公務員職権乱用罪(刑法193条)、および、有印公文書変造(刑法155条2)を犯したことが思料される。
※訴状第4の4の(13)から(14)(22・23ページ) - 坂野孝洋は、著しく原告に不利な公文書を作成し、それを永年保存することを起案した。この行為は、有印公文書変造(刑法155条2)、および、名誉棄損罪(刑法第230条)に該当することが思料される。
※訴状第4の4の(2)アからカまで(20・21ページ) - (蘭越町議会議員)冨樫順悦・難波修二・永井浩
冨樫順悦、難波修二、永井浩は、被告人の陳情に対し、以下に示すとおり、公務員職権乱用罪(刑法198条)、および、侮辱罪(刑法第231条)に該当する行為を犯したことが思料される。
- 第4の3の(1)に示した通り、原告は「チセヌプリスキー場の売却にかかる入札談合行為と背任疑惑の真相究明を求める陳情書」を、冨樫順悦が議長を務める蘭越町議会に提出した。≪甲57≫
※訴状第4の3の(1)(18ページ) - 原告の陳情の審査を付託された総務・文教常任委員会(委員長難波修二)は、陳情人(原告)の陳述調査を実施したが、その実施のやり方は公正さを欠いた。≪甲43・44・45・46・50・65・56・67≫
※訴状第4の3の(4)から(6)(18・19ページ)
- 同委員会は、陳情人の説明に30分しか与えず、延長を求める陳情人の要求を頑なに拒んだ。≪甲43・50・67≫
- 陳情人の説明後、永井浩議員は、刑事訴訟の基本的なことさえ知らずに、ただの誹謗中傷だ、裁判所に行くべきだ、といった主張を繰り返した。≪甲43・50・56≫
- 難波委員長は、永井浩議員の独演を許す一方、永井浩議員に対する陳情人の反論を一方的に制止し、陳情人調査を終了させた。≪甲43・50・56≫
(3) その後、当該陳情の評価をわずか15分の議事ですませ、難波修二議員がひとりで結論案を書いた。≪甲45≫
(4) 議会に答申された「陳情の審査結果について」は、次の問題がある。≪甲48・56≫
- 陳情の本体である陳情趣意書をまったく検討していない。
- 別添された証拠がまったく評価されていない。
- 「陳情の審査結果について」の4において、陳情人が表紙である陳情書において「売却先企業が公募時の提案内容と異なる事業を行っているにもかかわらず、蘭越町はそれを容認している」とし、蘭越町側が容認していることを問題としているにもかかわらず、JRT側の問題に置き替えてまとめられている。
(5) 以上のとおり、難波修二が委員長を務める総務・文教常任委員会の審査結果は、陳情人が提出した陳情本体である陳情趣意書を参照せず、添付した証拠に対する一切の評価もなしに結論を結んでおり、著しく公正さを欠いている。また、客観的事実に照らした箇所も見られず、論理的に杜撰である。難波修二が委員長を務める蘭越町議会総務・文教常任委員会が、半年以上の時間をかけたにも係わらず、多くの面において、原告の陳情に対し、不当に長期間を費やしながら、杜撰な審査をしたことは、結果として、5年を時効とする背任罪の時効を成立させる結果に繋がっている。このことは、難波修二が公務員職権乱用罪(刑法198条)に該当する行為を犯したことが思料される。
- 削除する。
- (蘭越町副町長)山内勲
- 原告が黒幕という言葉の意味を明確にし、かつ、その発言を撤回したにもかかわらず、蘭越職員および蘭越町議会に対し、原告に悪い印象を与えるための材料として黒幕という言葉を執拗に繰り返した。≪甲142-3(音抜粋)・甲142-6(反訳)・甲143-2(音抜粋)・甲143-3(反訳)≫
- また、山内勲は、蘭越町議会においては、次の弁明をなした。
彼はですね、入札談合行為と背任疑惑の真相究明なんていうタイトルで、全然俺らの・ ・・ ・・人の意見を聞いて、自分の考えを述べて、お互いにこうしていきましようなんていうスタイルではなく、徹底的にこいつらはもう疑惑の、僕のところに来て彼は言いますからね、黒幕がいるんだべ、黒幕がいるんだべと言うんですね。失礼なことを言うなといって返すんですけども、そんな感じです。頭から。ですからそういう前提に成り立っているこれがあるということは、僕らもちょっと穏やかではないなという気持ちにはなりますよね。前回お話聞かれて皆さん方どういう印象受けたかわかると思いますけども。
告4420ページより山内勲発言の一部を抜粋
- 山内勲は、原告が町民税を滞納していることを、他の職員の前で暴露し、非難した。
- 工藤信也は、理由なく、原告の公文書開示請求を理由なく拒絶した。この行為は、公務員職権乱用罪(刑法193条)を犯したことが思料される
- 今野満は、被告人を対象に、侮辱罪(刑法第231条)に該当すること行為を犯したことが思料される。また、公文書一部開示決定通知においては、原告の請求内容を改ざんした。この行為は、公務員職権乱用罪(刑法193条)、および、有印公文書変造(刑法155条2)を犯したことが思料される。
- 坂野孝洋は、著しく原告に不利な公文書を作成し、それを永年保存することを起案した。この行為は、有印公文書変造(刑法155条2)、および、名誉棄損罪(刑法第230条)に該当することが思料される。
- (蘭越町議会議員)冨樫順悦・難波修二・永井浩
冨樫順悦、難波修二、永井浩は、被告人の陳情に対し、以下に示すとおり、公務員職権乱用罪(刑法198条)、および、侮辱罪(刑法第231条)に該当する行為を犯したことが思料される。 - 第5の3に示した通り、原告は「チセヌプリスキー場の売却にかかる入札談合行為と背任疑惑の真相究明を求める陳情書」を、冨樫順悦が議長を務める蘭越町議会に提出した。≪甲57≫
- 原告の陳情の審査を付託された総務・文教常任委員会は、陳情人(原告)の陳述調査を実施したが、その実施のやり方は公正さを欠いた。≪甲43・44・45・50・65・56≫
- 難波委員会は、陳情人の説明に30分しか与えず、延長を求める陳情人の要求を頑なに拒んだ。
- 陳情人の説明後、永井浩議員は、刑事訴訟の基本的なことさえ知らずに、ただの誹謗中傷だ、裁判所に行くべきだ、といった主張を繰り返した。
- 難波委員長は、永井浩議員の独演を許す一方、永井浩議員に対する陳情人の反論を一方的に制止し、陳情人調査を終了させた。
(3) その後、当該陳情の評価をわずか15分の議事ですませ、難波修二議員がひとりで結論案を書いた。≪甲45・46・56≫
(4) 議会に答申された「陳情の審査結果について」は、次の問題がある。≪甲48・67≫
- 陳情の本体である陳情趣意書をまったく検討していない。
- 別添された証拠がまったく評価されていない。
- 「陳情の審査結果について」の4において、陳情人が表紙である陳情書において「売却先企業が公募時の提案内容と異なる事業を行っているにもかかわらず、蘭越町はそれを容認している」とし、蘭越町側が容認していることを問題としているにもかかわらず、JRT側の問題に置き替えてまとめられている。
(5) 以上のとおり、議会の審査結果は、陳情人が提出した陳情本体である陳情趣意書を参照せず、添付した証拠に対する一切の評価もなしに結論を結んでおり、著しく公正さを欠いている。また、客観的事実に照らした箇所も見られず、論理的に杜撰である。≪甲48・67≫
- 冨樫順悦が議長を務める蘭越町議会が、半年以上の時間をかけたにも係わらず、多くの面において、原告の陳情に対し、杜撰な審査をしたことは、他の金秀幸らとの共謀が思料される。冨樫順悦が蘭越町議会議長として為した行為は、不当に時間にかけることによって、多くが5年を時効とする犯罪の時効を成立させる結果に繋がっており、公務員職権乱用罪(刑法198条)に該当する行為を犯したことが思料される。
第6 損害
- 原告の汚職調査は、公益を目的とし、無報酬で行ったものである。
- 原告に対する被告らの行為により、原告は、汚職調査をまとめる時間の利益を失ったのみならず、本来の汚職調査対象以外の事務を余儀なくされた。
- 汚職調査の開始から本賠償請求をするまでの4年以上の期間において、原告が失った時間は以下のとおり。
- 資料収集:およそ100時間
- 電話および訪問取材:およそ100時間
- 証拠を取りまとめる作業:およそ600時間
- 合計:およそ800時間
- 被告らが、理由なく原告の請求を拒絶し、よってたかって、繰り返し原告を侮辱、または、原告の名誉を棄損する行為を行ったことにより、原告は甚大な時間的・精神的損害を受けた。その損害を慰謝するための費用は200万円が相当である。
以上