岩盤規制の建前と本質的問題

最終更新日:2025年10月19日

法律は官僚が作る

「法律をつくるのは国会」
中学で学んだこの知識以上を学ばず、大人になった人はおそろしく多い。

しかし現実、国会議員が創る法律は、全体からするとわずかに過ぎない。さらに、そうした議員立法が成立し、晴れて法律となる割合は、決して高くはない。

そして、大多数の法律を役人が作っている。

役人が作った法律のほとんどは、役所の利益につながることはあっても、政党の利害には関わらないものが多い。

だから、役人の法案(=内閣提出の法案)の多くは、そのまま法律になる。

なお、大綱を定める法律に対しては、国会の議決が必要である。しかし、それ以下の政令、省令、規則、細則といった法律の具体的な部分を規定する例規に対しては、国会の議決は必要ではない。

政令と省令

すべての政令は役人が発案する。そして、密室で行なわれる閣議で何の議論もなしに決定されている。

さらに下位の令規

これらは、国会も閣議も関係なく、お役所の中だけで成立している。それゆえ、これを行政立法という。

交通規制の例

交通規制(警察の岩盤規制)

日本という中央集権国家の交通行政は、上左図のようになっている。一方、地方自治が機能している欧米では、だいたい上右図のような感じだ。

圧倒的な違いは、警察権力の大きさだ。日本の警察は、交通取締りだけでなく、交通規制の権限、それから運転免許に関する権限も握っている。それだけでなく、信号機に代表される交通インフラの公共事業も掌握しており、その影響力は絶大で、他国に類をみない。

なのにおまわりさんは、「警察の仕事は取り締まりだ」と、まるで取締りだけが警察の仕事であるかのように口をそろえ、そして公安委員会を盾にして、「交通規制は公安委員会が~」「運転免許は公安委員会が~」とタテマエ論をくり返している。しかし、現実の公安委員会は、警察を管理するどころか、警察が民主的なコントロールを拒絶する道具に成り下がっている。

警察庁はというと、キャリア官僚を送り込むことによって、都道府県警察を下位組織化しているにもかかわらず、「都道府県による独自の~」と地方警察の独立性を主張している。