144主張骨子

事件番号 令和7(2025)年(行ウ)第5号

原告 野村 一也

被告 蘭越町

原告主張骨子(甲144号証関連)

2025(R7)年9月24日

札幌地方裁判所御中

原告 野村一也

委任契約の第三者不拘束性

民法第643条は、委任契約の効力が当事者間にのみ生ずることを定める。よって、町と弁護士の委任は当然に第三者である原告を拘束しない。それにもかかわらず、甲144号証関連において代理人は「窓口は決定事項」と称し、原告との直接対応を拒絶した。この取扱いは民法上の基本原則を逸脱する違法な制約である。1

情報公開条例上の権利侵害

蘭越町情報公開条例第1条は、町民の知る権利と情報公開の推進を目的としている。原告は同条例に基づき適法に開示請求を行ったが、町職員は「弁護士に言ってくれ」と述べて直接対応を拒絶した。「法的整理」という抽象的概念は条例に根拠を持たず、原告の権利行使を実質的に妨害する違法な運用である。2

「決定事項」とする断定的表現の不当性

代理人は「決定事項」の語を繰り返し用い、法的効果のない事項に拘束力があるかのような印象を与えた。この手法は住民の権利行使を萎縮させる不当な威圧であり、適正手続に反する。甲144号証関連の議事録・音声は、その断定的運用の具体的態様を示す。3

同一法律事務所の一貫手法(甲143号証関連)

別事案において、パークフロント法律事務所は受任通知で「代理人が対応するので依頼人や親族には直接連絡しないように」と記し、当事者間の接触を一方的に制約している(甲143-1)。さらに、原告は相手方の保険金受領の有無に疑義を呈し、不当利得(民法第703条・第708条)に言及して追及している(甲143-2)。これらは、本件での「決定事項」論・直接対応拒絶が偶発ではなく、同事務所の恒常的手法であることを裏づける。4

町職員の説明義務と適正手続の侵害

当時の総務課長は原告に対し「拒絶する」と明言した。行政は住民に対する説明責任を自ら負い、弁護士委任をもってこれを回避することはできない。弁護士を盾に原告の関与を排除した取扱いは、情報公開制度の趣旨と適正手続保障に反する違法な対応である。5

結論

甲144号証関連は、委任契約を超えて原告の条例上の権利を制約した具体的事実を示す。甲143号証関連は、同一法律事務所が別事案でも当事者間の接触を一方的に制約する手法を用いた事実を補強する。両者を総合すれば、本件対応は民法・条例・適正手続の各観点から違法・不当であり、原告の主張は正当であると認められる。6

脚注

1 民法第643条(委任)。委任の効力は原則として当事者間に限られ、当然に第三者を拘束しない。

2 蘭越町情報公開条例第1条(目的)。原告の開示請求権を基礎づける条項。

3 甲144-1(音声記録)、甲144-2(議事録)。「決定事項」なる断定的表現により直接対応を排除した経過。

4 甲143-1(受任通知・請求書:代理人以外との直接連絡の禁止)、甲143-2(原告からの照会:不当利得〈民法第703条・第708条〉への言及)。

5 行政は住民の権利行使に対し自ら説明責任を負う。弁護士委任を理由とする直接対応拒絶は、制度趣旨・適正手続に反する。

6 上記各証拠・条文の総合評価に基づく結論。