住民訴訟+国家賠償請求事件の訴状

2025(R7)年3月16日

小樽地方裁判所御中

原告 野村一也

町長の親戚が建物を建てた公園内の町有地に蘭越町が数々の便宜供与を続けることに対する監査請求の却下が無効あることの確認または取消請求および
汚職調査に対する組織ぐるみの威力業務妨害についての国家賠償請求
訴状

原告

磯谷郡蘭越町富岡1035-3

野村 一也(電話番号 090-4836-4467)

被告

磯谷郡蘭越町蘭越町258番地5

蘭越町

電話0136-57-5111(代表)

審理不要の前文(行政事件訴訟法の背景)

  1. 有識者の指摘
  1. 先ず、法制度およびその運用実態の問題を明らかにするために、有識者の指摘(修道法学25巻1号214ページ)を抜粋する。≪甲61
    行政事件訴訟法制定後、この40年間の行政訴訟の状況を見ると、国民にとって著しく利用がしにくいもので、行政事件数が極端に少ない、しかもその勝訴率も低い。行政訴訟の提起が容易でない制度的な不備に加え、判例の解釈が厳格にすぎることなどが障壁となり、実効的な権利救済を求める国民の期待に応えるものとはなっていない。それだけに、行政訴訟は、「国民の側からすれば殆ど実効性のない不毛地帯」とか、救済制度が「心筋梗塞」や「破産」状態にあり、「国民の裁判を受ける権利は死に体に近い状態に陥っている」との指摘がなされている。このような厳しい評価に代表されるように、これまでの行政訴訟の運用実態は、包括的実効的な権利救済という観点からも、法律による行政の原理を司法により担保するという観点からも、著しい機能不全ともいうべき状況が続いており、行政事件訴訟法には、法制度的に改善すべき多くの問題点が存在することが共通の認識となっている。
  2. 地方自治体の問題は、上掲の法学者が指摘する法制度上の問題以外に、以下に掲げる問題傾向が一般的に指摘されている。
  1. 地方公務員を規制する倫理法が存在しない。
  2. 西欧諸国にならい、1999年までに国と地方に行政情報の公開がようやく法制化されたものの、不存在と不開示が乱発されている。
  3. 日本の公職者は、説明責任の意識が極めて低く、向けられた疑惑に自ら説明するどころか、開き直ることが状態化している。このことは、西欧諸国の権力者がノブレス・オブリージュを垂範し、それが社会規範となっていることに比較すると隔世の感は否めない。
  4. 地方行政に対する住民の関心は、国政に対する関心と同様に、極めて低い。結果、民主主義は選挙だけにしか機能していない。
  5. 地方議員に執行機関を監視する責務の意識が低いために、地方議会が執行機関の追認機関に成り下がっている。
  6. 警察は、捜査が困難な経済犯罪を積極的に捜査しない。
  7. 公正取引委員会は、「縦の談合(官製談合)」を調査の対象にしていない。
  8. 財務を民主的に監査するはずの監査委員、および、行政情報の公開を民主的に審査するはずの個人情報保護委員会が会計や法律の学識経験のない者で構成され、執行機関から事務局に出向した自治体職員によって、その事務の多くを処理されている。その結果、第三者委員会制度が目的とする民主的なチェックが機能していない。
    法律より所属組織の利益を守ることを優先しがちな傾向は、大企業と行政組織において顕著である。そして、組織の利益を守ることが、自己の居場所を守ることに繋がることから、上層部の命令を伴わずとも、職員自らの判断により、所属組織の利益を守る行動が実施される傾向がある。
  9. アからクまでに上掲した傾向は、公務員の汚職の温床となり得るものである。
  1. 汚職に代表される公職者の犯罪ないし不法行為を追及する作業においては、以下に掲げる問題傾向が一般的に指摘されている。
  1. 不法行為の立証が困難である一方、その否定は極めて容易である。多く場合「否認する」と言うだけで、疑惑は疑惑のままだ。
  2. また、公職者に説明責任の意識が低く、公文書の公開をコントロールできることが、アの問題をさらに困難としている。
  3. 捜査が困難な経済犯罪に対し、警察が後ろ向きであることが、経済犯罪に対する刑事司法の抑止効果を損ねている。
  4. 行政訴訟が難解であることから、世論になりにくい。
  5. 判例は「行政訴訟はやるだけ無駄」であることを肯定している。
  1. 当該監査請求事案の背景
  1. 原告(当該監査請求における監査請求人)が監査を請求した事案は、前町長の親戚Xが公園内に所有していた建物を譲り受けたKの数々の要求に対し、蘭越町が多くの要求を認め、便宜を図ったことにより、Kが公園内の町有地(以下「公園」)上で不動産賃貸業を営み、一方で、当該公園が公園機能を失っていることを指摘したものである。なお、被告蘭越町で住民監査が請求されたのは、当該監査請求事案が最初である。
    以下、本題に入る前に、地方自治体が抱える根本的な問題と、その問題に対する動向を簡単にまとめた。
  1. 地方自治の基本構造は、二元代表制にある。これは、市町村などの(執行機関)に権力を集中させてないために、市町村議会という機関に権力を分散させ、不達の機関が互いに抑制しあうことで権力の均衡を保ち、民主主義を機能させるための基本システムである。とうぜん、二元代表制の両翼となる議会と執行機関には、それぞれが独自に時代の要請に合わせた変革をする必要に迫られる。
  2. 2007(H19)年の地方分権一括法の施行以降、議会事務局の充実強化を求める議論が多くなされている。2020年に総務省がまとめた『地方議会・議員のあり方に関する研究会報告書』では、議会と住民との意思疎通が議会への住民参加の前提になるとし、そのための議会事務局の役割として、情報発信力の強化を求めている。また、議員の調査研究や政策立案を支援するという観点でも、事務局体制の強化を求めている。
  3. それらの社会要請に対する自治体側のアクションとして、議会基本条例の制定が進展している。議会基本条例は、平成18年5月に全国に先駆けて北海道・栗山町で制定された。2023(R5)年10月1日時点において、全国1012の自治体で施行されており、全国の自治体における施行自治体の割合は56.6%である。内訳は、道府県が32団体、市区町村が980団体であり、全国の6割弱の自治体で制定されている。
  4. ついでに揚げると、議会基本条例と同様、国ではなく地方が主導する民主的な自治を実現するため、執行機関(市町村)側のアクションとして、自治基本条例の制定があげられる。自治基本条例は、平成13年4月に全国に先駆けて北海道・ニセコ町で制定された。全国の2割強の自治体で制定された。
  5. そして、被告蘭越町においては、ことあるごとに「町民が主役」「町民主役の町」というキャッチフレーズが使われているが、議会基本条例も議会基本条例も制定されていない。
  1. 2013(H25)年総務省調査「地方公共団体の長の連続就任回数調」によれば、前町長の宮谷内留雄は、7期28年という全国歴代4番目(同順位者総数8人)の長期政権を務めた。一般論として、長期政権が、過度な権力集中の要因であることは指摘されるところである。そして、地方分権に時代の要請があるにもかかわらず、地方住民が地方行政に無関心であることが、多くの地方自治体に共通する問題である。このことから、原告は、本訴状が、関係当事者以外が見ても興味を失わず、理解できるよう心掛けて構成した。≪甲48
  1. 前項までの理由により、立証が極めて困難な行政機関の不法行為に対し、原告が本件訴訟を提起したのは、被告蘭越町のみならず、日本の民主主義の危篤的状況を憂慮しているからである。裁判官らが本件訴訟による訴えを認めなかったとしても、法制度的に改善すべき多くの問題点を具現化し、それが民主主義の危篤的状況の状況を知る具体例となることを、原告は期待している。

第1 請求の主旨

  1. 地方自治法第242条の2(住民訴訟)第1項3号に基づいて、蘭越町監査委員らによる補正通知が違法であることの確認、および、補正通知に記された却下の予約を実行した当該監査請求の却下も同じく違法であることの確認を求める。
  2. 行政事件訴訟法第3条(拮抗訴訟)第3項(処分の取消しの訴え)および同法第8条第2項2号(対象の適否)に基づいて、蘭越町監査委員らによる補正通知が違法であり、補正通知に記された却下の予約を実行した当該監査請求の却下も同じく違法であることから、当該監査請求の却下処分の取消しを求める。
  3. 行政事件訴訟法第3条(拮抗訴訟)第4項(無効等確認の訴え)に基づいて、蘭越町監査委員らによる補正通知が違法であり、補正通知に記された却下の予約を実行した当該監査請求の却下も同じく違法であることから、無効であることの確認を求める。
  4. 行政事件訴訟法第4条(当事者訴訟)に基づいて、蘭越町監査委員らによる補正通知が違法であり、補正通知に記された却下の予約を実行した当該監査請求の却下も同じく違法であることから、当該監査請求の却下処分が無効であることの確認を求める。
  5. 行政事件訴訟法第5条(民衆訴訟)に基づいて、蘭越町監査委員らによる補正通知が違法であることから無効の確認を求める。補正通知に記された却下の予約を実行した当該監査請求の却下については、無効の確認および取消しを求める。
  6. 地方自治法第242条の2(住民訴訟)第1項1号に基づき、当該町有地について、被告蘭越町がKとの新たな賃貸契約をしないことを求める。
  7. 国家賠償法第1条1項に基づき、被告蘭越町に対し、100万円の賠償を求める。

第2 事案の背景

  1. 当該監査請求の対象とした不動産
  1. 蘭越町湯里駐車公園内の土地210平方メートル(蘭越町字湯里353番以下「当該町有地」という)。
  2. 当該町有地上の建物(以下「当該建物」という)。
  3. 蘭越町湯里駐車公園内の町有地(行政財産)のうち、当該建物に隣接し、駐車場として整備された土地(以下「公園駐車場」という)。
  1. 当該監査請求における重要人物
  1. ■■■■■(以下「K」という)。当該建物の登記簿(甲25‐2)によれば、住所は札幌市東区北十九条東七丁目■番■号。
  2. ■■■■■(以下「Kの妻」という)。当該建物の登記簿(甲25‐2)に記されたKの住所(札幌市東区北五十条東七丁目■番■号)は、区画整理に伴により札幌市東区北五十条東七丁目108番地■■■に地番変更された。地番変更後の建物の登記(甲42-1,-2)によれば、Kの妻は、2020(H5)年12月12日に土地と建物を相続し、2021(R3)年3月15日に所有権移転をするまでの期間、建物と土地を資産として所有した。
  3. 氏名不詳(以下「X」という)。甲10‐1号証(Kの書いた「蘭越木彫品製作組合-いままでの経緯」)によれば、蘭越町長の親戚である。同号証によれば、その当時、蘭越町で40年つづいており、町の指名業者にもなっている会社の社長。同号証ほか、Kの書いた文書においては、Xは「約10年間、わたしが経営していたが、名駒にもう一軒店をだしたので営業出来できない。」との言葉より、次の2つを推定することができる。
  4. Xは、当該建物の売主である。
    Xは、蘭越町(湯里)木彫品製作組合の前代表である。しかしながら、蘭蘭越町が公開した文書に黒塗りが多いため、その真偽を測るためには黒塗りを外す必要がある。
    蘭越町木彫品製作組合前組合長(前代表)。甲10‐1号証によれば、Xと同一人物であるように読み取れるが、蘭越町が公開した文書に黒塗りが多いため、その真偽を測るためには黒塗りを外す必要がある。
  5. 宮谷内留雄。元蘭越町長。甲10‐1号証(Kの書いた「蘭越木彫品製作組合-いままでの経緯」)によれば、Xは宮谷内留雄の親戚である。
  6. 蘭越町長 金秀行
    蘭越町は、ニセコ町の隣にある人口4500人足らずの小規模自治体。金秀行(現町長)は、2016年に、宮谷内留雄(前町長)の後を継ぐ形で蘭越町長となった。2025年の3期目当選時68歳。
    町役場の出身者が総務課長と副町長(かつては助役)を経て町長となる出世コースは、宮谷内(前町長)と金(現町長)に通じる。金秀行は、町長に初当選した2016年、宮谷内留雄に名誉町民の称号を贈った。
  7. 山内勲。2003(H15)年8月13日に山内勲(当時総務係長)が起案した文書によって、蘭越町は、それまで否定的であったK氏への態度を一転させた。その後、山内は、昇進を重ね、2024年12月時点において、副町長の職にあった。
  8. 蘭越町監査委員 天水さとい
    2024(R6)年8月9日選任時の年齢は63歳
    金秀行が選任を求めた際の記録によれば「天水さんは、農業委員、ようてい農業協同組合理事などを経験されており、人格が高潔であり、地域で信望も厚く、識見を有しておりますので、適任であり、蘭越町監査委員として議会の同意をお願いするものでございます。」(令和6年蘭越町議会第3回臨時会会議録より抜粋)
  9. 蘭越町監査委員 向山博
    2023(R5)年5月11日選任時の年齢は71歳
    金秀行が選任を求めた際の記録によれば「向山議員の経歴等については、平成27年、蘭越町議会議員に当選以来、今回で3期目となり、これまで2期8年の長きにわたり、町政の振興発展に御尽力されております。この間、経済建設常任委員会副委員長、総務文教常任委員会副委員長、議会運営委員会委員、表彰審議会委員、南部後志環境衛生組合議会議員並びに消防委員を歴任されております。このように経験と識見を有し、品格高潔な向山博氏を蘭越町監査委員として適任であると考え、選任いたしたいと存じますので、同意についてよろしくお願いをいたします。」(令和5年蘭越町議会第2回臨時会会議録より抜粋)
  10. 蘭越町議会事務局 和田慎一
    和田は、執行機関である蘭越町の職員であり、2019(H31)年より現在にいたるまでの約6年を議会事務局に出向している。その間、事務局長は2回の入れ替えがあったが、和田の出向は連続した。和田は、蘭越町職員であるため、とうぜん執行機関の人事により、出世コースが左右される。

第3 事案の概要(時系列)

  1. 1989(H1)年6月27日、蘭越町観光室長難波は、当該町有地を、木彫品展示販売所設置用地として、蘭越町木彫品製作組合に賃貸することを起案した。≪甲1‐1
  2. 同年同月同日、蘭越町と蘭越町木彫品製作組合は、当該町有地の賃貸借契約を締結した。≪甲1‐2
  3. 1989(H1)年日付不詳、蘭越町木彫品製作組合は、当該町有地に木彫品展示販売所として使用するために当該建物を建築した。≪甲25‐2
  4. 1989(H1)年7月3日、当該町有地は、普通財産として所管替えされ、公有財産増減通知書(土地)に記帳された。≪甲2≫
  5. 1989(H1)年3月24日、当該町有地の賃貸借契約の満期に伴い、蘭越町木彫品製作組合は、蘭越町に対し、当該町有地の賃貸延期および構成員の変更、ならびに、店舗の名称を「蘭越町湯里木彫品製作直売所」に変更することを届け出た。≪甲3
    なお、甲3においては、「木彫品店舗名称変更届」とされているが、任意団体としての「蘭越町木彫品製作組合」の名称は、この日を境に「蘭越町湯里木彫品製作組合」に変更されている。また、「蘭越町湯里木彫品製作直売所」「蘭越町湯里木彫品製作直売所」という呼称も頻出する。
    ちなみに、甲3のみならず、任意団体を示す「組合」と「直売所」、ならびに、代表者を示す「組合長」と「代表責任者」は、混同して使用されている。
  1. 1989(H1)年3月25日、蘭越町技師中村信宏は、前項変更を受け、更新用の土地賃貸借契約書を起案した。≪甲4≫
  2. 1989(H1)年4月1日、蘭越町と蘭越町湯里木彫品製作直売所は、当該町有地について、土地賃貸借契約を締結した。≪甲5(土地賃貸契約書)≫
  3. Kが蘭越町に提出した「蘭越木彫品製作組合-いままでの経緯」に記された当該建物の売却経緯。≪甲10‐1
  1. 1999(H11)年5月初旬
  1. Kは、当該建物の購入を打診された。なお、Kは、店舗である当該建物を「店舗併用住宅」と記している。
  1. 「町よりの借地なので営業しないのであれば現状復帰しなければならない、解体費用もかかるのでできれば現状のままで買ってほしいとのこと。」
  2. 「金額は現状の建物で百万円とのこと。」
  3. 「住むには改装しなければ住めないが建設会社であるから安く改装できるとのこと。」
  4. 「帰宅して、検討。当時私は、札幌で建築設計事務所を経営していたが社屋兼住宅を売却、蘭越移住の準備にはいった。」
  1. 1999(H11)年6月中旬
  1. 「再度、社長(X)と交渉、現状渡し百万円、改装費用四百万円、計五百万円で、受渉成立、」
  1. 1999(H11)年6月中旬
  1. 「工事着工」
  1. 1999(H11) 年7月初旬
  1. 「自宅売買成立」
    「自宅」とは、Kが札幌に所在する自宅と思われる。
  2. 「社長(X)より電話。町よりの借地のだめ、改装する旨届け出をしなければならない。ついては図面を書いてほしい。快諾。」
  3. 「その後、現在の建物は私、所有であるが、蘭越木彫品販売所として借地しているので蘭越木彫組合の組合長になってもらえないだろうか。とのこと。わたしは、建築、妻は画家、ライフフークとしてクラフト製作もしているので、これをきっかけに地域振興も微力ながらお手伝いできると思い快諾しました。社長(X)は、そうすることによって、町への報告もスムーズにいくし、あなたも歓迎されると。町長とも親戚なのでその旨も話してあるとのこと。私遣の夢はひろがり、新天地で活躍しようと思った。」
  1. 1999(H11)年7月17日
  1. 「平成11年7月17日付の木彫組合役員変更の書類を作ってほしいとのこと。わたしが作成し、社長(X)、他の組合員も捺印した。」
  1. 1999(H11)年7月19日、蘭越町湯里木彫品製作直売所の代表責任者(伏字となっているがおそらくK)は、蘭越町に対し、次の4項目を記載した2つの文書を提出した
  1. 文書1≪甲7‐1
  1. 「土地賃貸借契約期間延長の継続願い」
  2. 「蘭越町木彫品製作組合底舗改修届」
  3. 「蘭越町木彫品製作組合の称号について」
  1. Kは自宅として改装購入したにもかかわらず、町に提出した書類の「湯里木彫品製作直売所内部改装のお願い」欄には、陳列製品を木彫品、木工クラフト、土産品と記載した。住宅に改装する旨は、記載されていない。
  2. その一方、同欄記載の図面では、販売室をなくし、厨房と事務所に改修する案となっている。
  3. なお、当該図面には、Kが2022年に掲載したテナント募集広告に描かれた浴室および2階ベッドルームの記載はない。≪甲20-2
  4. その後、Kは町に対し改装の届け出をした記録はなく、Kは自宅として売買契約を締結し、1999年9月末に引っ越したことを自ら作成した文書(甲10‐1)に記録している、Kは、2階フロアを新設し、そこにベッドルームと浴室を設けたにもかかわらず、町への届出(甲7‐2)においては、それを隠したこととなる。
  5. なお、第3の8の(4)のイによれば、図面を描いたのはKである。
  1. 湯里木彫品製作直売所人事の変更について
    代表責任者が変更は明記されておらず、「販売の管理を希望される人が居りましたので、店の営業を再開します。」と記されている。
  1. 1999(H11)年7月28日、蘭越町は、蘭越町湯里木彫品製作組合長が提出した賃貸延期および店舗改修を承認した。≪甲7‐1‐2
  1. なお、蘭越町が承認した文書はk7-2.pdfである。甲7‐1甲7‐2は、それぞれ3項目が記されており、1番目と2番目は、ほぼ同じである。3番目の項目は異なっている。
  2. 作成者

    3番目の項目

    甲7‐1

    蘭越町湯里木彫品製作直売所
    代表責任者

    直売所人事の変更について

    甲7‐2

    蘭越町木彫品製作組合長

    蘭越町木彫品製作組合の称号について

  3. 甲7‐2の3番目の項目の内容は、次の通り。
    昭和63年に蘭越町に許可頂いた湯里木彫品販売店の土地借用に依り、おかげにて今日まで蘭越町木彫品製作組合が活動して参りました。これからも同じ称号を持って活動して参りたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
    昭和63年の発足より長年たちますと、組合の脱合又は死亡された方など人事に変動もございますので、組合員の再編成と規約の一部改正を持って再発足して、社会事業に対処する所存でございます。
  1. 1999(H11)年9月某日、Kは、当該建物引っ越した。≪甲10‐1
  2. 1999(H11)年10月10日、Kが蘭越町に提出した文書によれば、Kが自宅として購入し、引っ越した建物であるにもかかわらず、オープニングセレモニーが開催され、建設会社社長(X)、町議会議員、地域の方30数名が出席した。≪k10-1≫
  3. 1999(H11)年10月某日、以下、Kの主張(k10-1)より抜粋した。
    転居してまもなく、社長(X)より工事見積提示。

    金額、千三百万円。びっくり仰天。わたしもプロ

    どう、見積っても、六百~六百五十万。社長(X)に再三、五百万円の予算だと伝えたが社長(X)の資金繰りのことも考え、約束の五百万円はとりあえず支払った。

    その翌日、建物登記の書類を作ってほしい旨たのむと登記はできないと。

    びっくり仰天。どうしてかと、たずねると町の土地なので登記はできないとのこと。町の土地でも建物は登記できるのでは。との問いに『できない』の一点張り。

    そのころ、誓約書なるものをもってきて、捺印してほしいとのこと。

    みると、住宅としては使用しない旨の誓約書。わたしは社長(X)に談判したが借地代金、固定資産税も■■■さんが払っているんだから大丈夫。町長と親戚なのでうまくまとめるから大丈夫、書類をださないとこまる。と。

  4. 1999(H11)年10月14日、蘭越町山本総務課長は、町民から直売所が住居として使われているとの指摘を受けて、湯里木彫品製作直売所の責任者と面談した。なお、責任者名は黒塗りされているが、字数からKではないと推定できる。≪甲8
  1. 山本総務課長は、直売所が住居として使われている、との町民の指摘に対し回答を求めた。
  2. 当該責任者は、直売所の店員予定者の仮住まいだと主張した。
  3. 山本総務課長は、当該責任者に対する町民の指摘が多いことに不信感を表明した。また、山本総務課長は、行政財産の使用許可を基盤とした事業は、地域振興目的でなければならないことを強調した。
  4. 山本総務課長は、「町外の者が代表者となることに対しても許可しない。会則についても実会員で構成すること等、言ったはずだ。」と告げた。
  1. 1999(H11)年10月26日、湯里木彫品製作直売所の責任者が町民から住宅として使用していることを批判されたことを謝罪し、木彫組合として地場産業の発展に寄与することを記した誓約書(10月21日付)の提出があったことを蘭越町河野俊明が発議した。誓約書には、契約違反があった場合は、補償を求めることなく、建物敷地を原形に復旧し、契約を解除することを記されている。なお、誓約書には、組合役員らによる連名の署名があった。≪甲9‐1‐2
  2. 1999(H11)年11月某日、以下、Kの主張(甲10‐1)より抜粋した。
    社長(X)来訪、町長に挨拶をしてほしいと。

    わたしも、町長には御会いしていなかったので翌日役場ヘ
    その折り、社長(X)は、今日は、だまって町の話を聞いてほしいと。

    わたしは、意味がよくわからなったが言うとうりにした。
    その折り、とんでもない話があった。

    町長よりわたしの住んでいる建物は町公圏内にあり、居住できないと。
    わたしはびっくりしたが社長(X)とのこともあり、だまって説明を聞いた。

    解決策として町営住宅を借りてほしいとのこと。
    しかし町長よりも蘭越で頑張ってほしい旨激励された。
    その折り、どんなものを製作、販売しているのかと聞かれ、私達が製作しているもの、どんな営業かも、かいつまんで説明しました。
    町長は、幽泉閣も町の施設なので販売を頼みなさいとまでいってくれた。
    その後、私は社長(X)にだまされたと思い、五百万円の返還をせまった。しかし
    社長(X)は、町の意向を聞いて町営住宅を借りてほしい。半年くらいで

    住めるようにするからと。
    私たちも全財産を注ぎ込んで移住したてまえ、社長(X)の話を信じるしかなく不本意であったが承諾した。

  3. 2001(H13)年4月1日、山内勲は、蘭越町総務課係長に昇進した。
  4. 2001(H13)年11月某日、以下、Kの主張(甲10‐1)より抜粋した。
    社長(X)より、突然蘭越木彫品組合を解散する。ついてはでていってほしい。
    との話。私は、組合長は私。唐突に解散はできないのでは。と反論。
    その後も、2度ほど同様の話があったので経緯を知っている■■議員に相談。
    総務委員会で決着済との言葉にすこし安心。
    しかし、わたしもこの状態での暮らしも疲れ町との面談を希望していたが実現せず。
  5. 2002(H14)年3月某日、以下、Kの主張(甲10‐1)より抜粋した。
    社長(X)より、木彫組合は解散したので秋までに解体する。と、こんどは脅迫してきた。いままでは、社長(X)のこと、町のこと、地域のみなさんのことを考え
    わたしの意見を積極的に述べなかったが、詐欺的行為、また、脅迫めいた電話までして解体するとの言動に妻もいるので、暴力的行為になるまえに経緯を説明したいと思い、■■議員!こ相駁して総務課長に御会いし現状を説明したいとおもい本日来庁しました。
    もはや、社長(X)を通してではわたしの真意はつたわっていないと判断し、なりゆきによっては、第3者の意見も聞き、告訴等の手段も検討しなければとおもっております。
    だだ、夢をもってきたこの地。友人も沢山でき工芸と農業を結んだ地威おこしも友人と語りあってきた現在、だまされたとはいえ蘭越町民として生きていくだめ円満に解決すべき道を探しております。
  6. 2002(H14)年4月24日、**議員(黒塗りにより特定不能)、当該建物の現所有者であるKとKの妻、および、黒塗りにより名前不明の2名は、蘭越町山本総務課長と面談した。面談は、Kが甲10‐1(K作成)を山本総務課長に渡した上で実施された。≪甲10‐2(蘭越町作成)≫
  1. 甲10‐2に記されたKおよびKの妻の主張。
  1. ■■議員は、Kより、蘭越町湯里木彫品製作直売所組合長の■■さんより、建物を壊すので出ていくようにとの連絡を受け、蘭越町総務課長に話を聞いてもらうために、Kらとともに、打合せに訪れた。
  2. Kは、経過の書類(甲10‐1)を持参し、それを見せた。
  3. Kの妻は、当該建物および住宅への改造費用として、札幌の家等全財産を売って500万円を払った、と言った。
  4. ただし、Kの妻は、札幌市北50条東7丁目108番170に所在する土地建物を1993(H5)年9月22日より2021(R3)年6月4日に売却するまでの期間、所有し続けている(甲42?1・?2)ことから、「全財産を売って」が虚言であることは明かである。
  5. Kは、Xが町長とも親戚だ、半年で何とかすると言っていたので、信頼していた、と言った。
  6. Kは、当該建物の売買契約書はない、といった。
  7. Kは、Xに建物登記ができないと、支払いの後に言われた。
  8. 1999(H11)年11月、町長より、建物が公園内にあることを知らされた。
  9. Kは、建物の住居使用を噂され、自分たちが悪者されていると感じた。
  10. 2001(H13)年の暮れに、Kは、売主から、木彫組合が解散したので、建物を解体するなどと、脅迫めいたことを言われた。
  11. Kは、弁護士に相談し、売主に刑法246条の疑いがあり、K自身は被害者である、といった旨を主張した。
  12. は、Xに家を壊すと脅されている、と主張した。
    甲10‐2に記されたK、山本総務課長および■■議員の問答。
  1. 山本総務課長
    「おかしいと思わなかったのですか。」
    「組合員が集まってこの件について話しをすべきではないでしょうか。」

  2. 「おかしいと感じていたが、私たちが悪者になっており話すことが出来なかった。」
  3. ■■議員
    「組合員は■■さんが集めた人だから、集まることは■■さんが納得しないと難しいのではないか。私も、■■さんに頼むと言われてなっているだけだ。」
  4. 山本総務課長
    「500万円と1300万円の件についてもどうするのか話しをしなければならないのではないですか。」
  5. Kの妻
    「3年前、私たちが買わなければ九州の人が買っていた。」
  1. 甲10‐2に記された山本総務課長がKに言った内容。
  1. 町に無断で転売されたなら、契約違反である。
  2. 町との契約書以外の目的以外に使用するなら、土地は貸せない。
  3. 町長と助役に話しをする。
  1. 2002(H14)年10月3日、蘭越町湯里木彫品製作組合は、総会を行い、組合の解散を決議した。なお、出席者欄には7名の名前が記されているが、署名欄に署名した組合員はひとりのみである。≪甲10‐4
  2. 2003(H15)年7月15日、蘭越町木彫品製作組合の元組合長は、Kに木彫販売店の無償譲渡を証する文書を作成した。≪甲13‐4≫
    なお、元組合長の名前は黒塗りされているが、甲10‐2によれば、直近の組合長はKである。
  3. 2003(H15)年7月25日、以下の文書が作成された。
  1. 組合の解散届
    蘭越町は、同日付で作成された蘭越町湯里木彫品製作組合の解散届を受理した。なお、解散届は元組合長の名前で作成され、解散した日は平成14(2002)年11月30日と記されている。≪甲13‐3≫
  2. 木彫販売店の譲渡書
    木彫販売店を元組合長がKに無償で譲渡したことを示す文書。≪甲13‐4≫
    なお、元組合長の名前は黒塗りされているが、甲10‐2によれば、直近の組合長はKである。
  3. 契約解除申出書
    元組合長の名前でなされた当該建物の敷地の賃貸契約を解除する申出。なお、Kが当該敷地の賃借権を引き継ぐことのお願いが添えられた。≪甲13‐5
    なお、元組合長の名前は黒塗りされているが、甲10‐2によれば、直近の組合長はKである。
  1. 242003(H15)年8月4日、Kと他1名(黒塗りされているが、Xであることが容易に推定できるので、以下、Xとみなす)は、蘭越町山本総務課長と面談し、借地権の扱いに関する打合せを行った。≪甲11
  1. Kの主張
  1. Kは、売買契約でなく無償譲渡とする理由について、■■氏から書類の関係上そうしていただきたいと言われたと主張した。
  2. Kは、売買契約書は作成していないことを伝えた。
  3. Kは、隣接する土地の賃借を要望した。
  4. 山本総務課長は、弁護士と相談することを伝えた。
  5. [
  1. 252003(H15)年8月13日、蘭越町は、蘭越町総務課山内勲が起案した文書によって、Kに対する態度を一転させた。山内勲は、弁護士の見解を拠り所とし、建物譲渡を承認し、土地賃貸借契約を行うことを起案したのである。ただし、以下の条件が付された。
  1. 建物の増改築等で変更する場合は必ず協議するものとし、無断で実施した場合、契約解除とすること。
  2. 連帯保証人(町内)を2名立てること(印鑑証明) 。
  3. 一切の譲渡は禁止、又、契約を解除した場合は必ず建物を解体する確約書を提出。
  4. 固定公圏内の許可について支庁と協議し、許可を受けること。
    なお、山内勲が当該起案で拠り所とした弁護士の文書において、弁護士は、売主が解体費用の関係でKに建物を無償譲渡したことが考えられること、および、Kが転売を意図している可能性を指摘した。≪甲12
  1. 2003(H15)年11月6日、Kは、蘭越町に対し、当該建物で行う事業について「趣意書」を提出した。≪甲13‐5‐6
  2. 2004(H16)年3月23日、Kは、蘭越町に対し、普通財産貸付申請書を提出し、同日、蘭越町は同申請書を受理した。≪甲14‐1
  3. 2004(H16)年3月29日発議の普通財産貸付協議書において、蘭越町は、当該土地の貸付けについて、以下の条件を含む契約内容を決裁した。≪甲14‐2≫
  4. 2004(H16)年4月1日、蘭越町は、Kと土地賃貸借契約を締結した。≪甲14‐3
  1. 第三者の使用および譲渡の禁止
  2. 賃貸料は年70560円
  3. 契約期間は1年
  4. 町による1カ月前通告による契約解除条項
  1. 2005(H17)年12月11日、山内勲は、総務課主幹に昇進した。
  2. 2006(H18)年12月11日、蘭越町総務課管財係守田裕之は、当該建物が第三者に賃貸されていることを報告する文書を起案した。≪甲15‐1
  1. 守田の報告によれば、硝子工房煌(きら)の運営者は、当該建物を賃借し、運営をはじめた。
  2. 結果、Kが町に無断で建物を賃貸したことが発覚した。
  1. 2007(H19)年4月13日、Kは、甲15‐1において、賃貸していたことが発覚しているにも関わらず、蘭越町長に対し、ガラス工芸家の夫妻がまるで当該建物を無償で管理しているかのような個所(本文17行目)を含む文書を提出した。≪甲15‐2
  2. 2011(H23)年12月2日、蘭越町総務課管財係藤原が空き家となった当該建物を借りたいとの電話を受けたことにより、当該建物が未利用状況であることが発覚した。≪甲16‐1‐2
  3. 2013(H25)年3月20日、山内勲は、総務課長に昇進した。
  4. 2013(H25)年12月2日、Kは、当該建物が登記できないと知らさせていたにもかかわらず、自己の名義で所有権を登記した。≪甲17
  5. 2016(H28)年12月20日、山内勲は、副町長に指名された。
  6. 2019(R1)年6月25日、Kは、蘭越町役場を訪れ、当該建物の敷地の売り払いを求めた。Kは当該建物の運用状況を口述したが、その中には虚言が含まれている。
  1. この時点で当該建物では、レストラン「ChezDoudou(シェドゥドゥ)」が営業していたが、Kは、レストランが賃貸でなく、K自身の事業であり、店をKの従業員に任せてあるかのように説明した。≪甲18‐1
  2. 同レストランは、後にニセコ町ニセコ336に移転した。2024(R6)年10月10日、オーナーシェフの■■■■は、原告との雑談のなかで、移転前に当該建物で同レストランを営業していたときは、Kから当該建物を賃貸しており、Kは、外人に高い家賃で貸すために、同レストランを立ち退かせた、と明かした。≪甲40‐1≫
  1. 2019(R1)年7月3日、蘭越町総務課長小林俊也は、Kに対し、売り払い依頼を断る電話を発信した。対するKは、騙されて賃貸することになったことアピールし、敷地の賃貸料の軽減を求めた。≪甲18‐2
  2. 2021(R3)年4月28日、蘭越町総務課坂野と米田は、Kから以下の要望を受けた。≪甲19‐1
  1. Kは、賃貸契約書に約定された「本件土地を第三者に使用させ、あるいは本契約に基づく権利を第三者に譲渡してはならない」との条文の緩和、撤廃を求めた。なお、これまでKは、ガラス工芸店(硝子工房煌)においては「管理」、レストラン(ChezDoudou)は「従業員」という言葉を用いて、賃貸借ではないかのような説明していたが、これを一転させ、レストランに「建物を貸していた」と言い換えた。
  2. Kは、1カ月前通知による契約解除の条項についても、見直しを求めた。
  3. Kは、「平成16年当時の総務課長さんが店舗兼住宅敷地として賃貸契約を結んで住めるようにしてくれた。」と言った。
  1. 2021(R3)年5月13日、蘭越町総務課米田は、「土地賃貸借契約見直し要望に対する見解」を発議した。≪甲19‐2
  1. 当該は次の概要は次のとおり。
  1. 条文は変更しないが、建物の転貸を認め、目的を店舗等に変更する。
  2. 賃料を年間7万560円から、年4万8510円に引き下げる。
  3. 契約解除に伴う損失の補償について規定することが望ましい。
  1. 同見解の「総括」として、次のように記されている。なお、建物はKが所有していることから、「転貸」は「賃貸」の誤記であると思われる。
    なお、賃借地の使用目的については現在店舗兼居住敷地となっているが、第三者への建物の転貸が前提となって運用されている経緯に鑑み、実態に即した目的(「店舗」等)に変更してよろしいか合わせて伺います。
  2. 同見解の「総括」に反し、Kは当該町有地の売買を求めた際に賃貸していた事実に言及したのは、2021(R3)年4月28日が最初である。それ以前において、Kが当該町有地上で運営されていたレストランを、あたかもK自身の事業であるかのように口述した記録(甲18‐1)が示す通り、Kは第三者への賃貸を避けた言い回しをしている。
  3. つまり、K自身が建物の賃貸事実を説明していなかったことは、「第三者への建物の転貸が前提となって運用されている経緯に鑑み~」とする譲歩理由と一致していないだけでなく、Kは狂言を用いて自身の不動産賃貸業を隠していたこととなり、転貸を認める理由はない。
  4. 当該発議には、判例を基に「土地賃借入が賃借地上の建設した建物を第三者に賃貸しても、賃借入は建物所有のため自ら土地を使用している者であり、賃借地を第三者に転貸したとは言えない。」として、建物の賃貸を認める根拠としている。しかしながら、蘭越町が問題とすべきは、町有地上の建物による不動産賃貸業を行うことを容認するか否かである。当該発議の見解は失当であると言わざるを得ない。
  1. 総務課米田は、2021(R3)年5月20日に「土地賃貸借契約見直し要望に対する見解(甲19‐2)」、Kに説明した後、2021(R3)年5月25日に「土地賃貸借契約における条項の見直し等要望に対する対応について」を発議した。≪甲19‐3
  2. 2021(R3)年6月4日、総務課米田は、Kへ契約書ドラフトを送付した後の5月25日におけるKとのやり取りを報告書にまとめた。≪甲19‐4≫
  1. Kは、土地の賃借権を継承したにもかかわらず、建物売買と新たな賃貸借契約の締結時に建物が存在したことを揚げ、土地の賃貸借契約の解除時における原状回復に建物の解体は含まれないとの考えを主張した。
  2. 総務課米田は、原状復旧とは建物の解体までを含むとの見解を採った。
  1. 2021(R3)年6月19日、蘭越町総務課米田は、6月4日付発議の「契約解除の際の原状復旧とは建物の解体までを含むか否か」の内容を、6月9日にKに電話で伝えた際のやり取りを報告する文書「土地賃貸借契約(案)における確認について」を発議した。≪甲19‐5
  1. Kは、2021(R3)年4月28日に実施された総務課長と総務係長同席の面談内容を考慮するよう求めた。なお、対応報告書によれば、総務課長は同席していない。
  2. Kは、騙されて全財産を使って家を買ったにもかかわらず、壊して住めなくなろうとしたときに当時の総務課長が声をかけてくれて、賃貸借契約を結んで住めようにしてもらった旨を伝えた。
  3. 総務課米田は、「特例的な扱いをすることは非常に困難」であることを伝え、電話でなく、来庁して欲しい旨を伝えた。
  1. 2021(R3)年10月11日、総務課米田は、以下に示す意見があったことを理由にKの要望に沿う契約内容に変更することを発議した。
  1. 第2条第2項「第三者使用」について削除
  2. 第10条「損害賠償」について削除
  3. 第11条「契約に要する費用」について削除
    なお、米田は上記が誰の意見なのかを明示しなかった。≪甲19‐6
  1. 同年同月同日16時30分、総務課米田は、
  1. Kからの電話を受け、以下の内容を確認した。≪甲19‐7
  1. Kは契約案に同意した。
  2. レストランの話しは流れ、別のテナントを探している。
  1. 同日付で、Kとの賃貸借契約を発議した。≪甲19‐7
  1. 同年11月1日、総務課米田は、Kとの賃貸借契約の締結報告を発議した。≪甲19‐8
  2. 当該町有地にかかる公文書開示請求1回目
  1. 2021(R3)年11月21日、原告は、蘭越町に対し、当該町有地の賃貸借にかかる文書を開示を請求した。≪甲21-1
  2. 2021(R3)年12月3日、蘭越町は、原告の求めに応じ、当該町有地の賃貸借にかかる文書の開示を決定した。≪甲21-2
  1. 48 2022(R4)年2月2日までに、総務課米田は、Kに対し、当該建物の賃貸状況を確認した。≪甲22
  1. 総務課米田は、Kに対し、建物の利用状況を問い合わせた。
  2. Kは、総務課米田に対し、電話およびEメールにて、2021(R3)年12月1日より、賃貸していることを報告した。ただし、蘭越町は、電話応対記録を原告に公開しなかった。
  1. 2022(R4)年2月2日、Kは、総務課米田に対し、服飾関係の販売を行う事業者をテナントとして迎える予定があることを伝えた。≪甲22≫
  2. 2022(R4)年10月14日、Kは、蘭越町に対し、賃借人(テナント)の名称だけをFAXで通知した。なお、FAXには、賃貸借の契約期間、賃貸料、賃借人の業種、賃貸人の所在地は記されていない。蘭越町総務課総務係西川健太と総務課管財係中村允哉は、FAX受信後、Kと通話内容を電話対応報告書に記録した。≪甲23
  3. 2022(R4)年10月14日、総務課西川および中村は、Kとの電話応対記録を発議した。≪甲23
  1. 同年同月同日9時半、当該建物の賃借人(テナント)が決まったことをFAXと電話にて連絡した。
    FAXの本文を、甲23の3ページ目より抜粋する。

    蘭越町湯里353-3
    ■■■■■■
    この度、上記家屋、「■■■■■■■
    ■■■■■に賃貸いたしました。
    090-■■■■■
    報告まで

    上記のとおり、テナントの業種も契約期間も賃料も記されていない。

  1. 同年同月同日10時、Kは、「賃借人が変わるようであれば連絡が欲しい」との蘭越町の求めに応じて連絡した旨を伝えた。
  1. 2023(R5)年5月、当該町有地にかかる公文書開示請求2回目
  1. 同年同月29日、原告は、当該町有地にかかる2回目の公文書開示を請求した。≪甲24‐1≫
  2. 2023(R5)年6月12日、蘭越町は、原告が先ず閲覧し、その後に必要文書の写しを求めてたにもかわらず、次のふたつの文書をEメールで送り付け、それをもって開示を完了させた。≪甲24‐2
  1. 2022(R4)年2月2日付けの総務課米田純希の Eメール≪甲22
  2. 2022(R4)年2月2日付けの電話応対記録≪甲23
  1. 2023(R5)年6月19日、蘭越町役場において、原告は、総務課坂野および米田と面談し、当該町有地の問題点を指摘、あるいは、調査依頼をした。≪甲29‐1(音全て)‐2(音抜粋1)‐3(音抜粋2)‐4(音抜粋3)‐5(音抜粋4)‐6(反訳1)‐7(反訳2)‐8(反訳3)‐9(反訳4)
  1. 甲29‐2(音抜粋1)‐6(反訳1)において
  1. 当該建物のテナントが公園駐車場にコンテナ倉庫を置いている。
  2. 有財産上の建物で高収益を上げることに公益性が認められるか。
  3. Kが当該町有地を賃貸する際の文書が欠けている。
  1. 甲29‐3(音抜粋2)‐7(反訳2)において
  1. 原告は、坂野に対し、同年同月末までに、公園駐車場の使用上の問題を確認することを求めた。坂野は、それに同意した。
  1. 甲29‐4(音抜粋3)‐8(反訳3)において
  1. 蘭越町が原告に通知した公文書不存在通知書(2023(R5)年6月12日付)において、不存在の理由に合理性がないことを指摘し、やり直しを求めた。坂野は原告の求めに同意した。
  1. 甲29‐5(音抜粋4)‐9(反訳4)において
  1. ア 原告は、米田に対し、Kと蘭越町との応対記録の補充を求めた。米田は、原告の依頼に同意した。
  2. イ原告は、坂野に対し、公園駐車場を当該建物のテナントが占有していることについて、公益性に照らしつつ、町の対応を明確にするように求めた。坂野は、原告の求めに同意した。
  1. 2023(R5)年6月23日、坂野は、原告に対し、公園駐車場の占有について、移動を勧告することをEメールで通知した。≪甲31
  2. 2023(R5)年6月24日、当該町有地にかかる公文書開示請求3回目
  1. 原告は、当該町有地にかかる3回目の公文書開示を請求した。なお、2回目の請求において、原告が閲覧を求めたにも関わらず、蘭越町は閲覧プロセスを経ず、一方的に文書を送り付けたことから、原告は、開示方法の区分欄には、「閲覧」という文字を大きく表示させた。≪甲27‐1≫
  2. 2023(R5)年7月5日、蘭越町は、原告に対し、一部開示を通知した。≪甲27‐2
  1. 2023(R5)年7月6日、原告と坂野の電話でのやり取り1回目≪甲35-1(音全て)-3(反訳)
  1. 原告は、町がKの求めに応じ、さまざまな便宜を図ったことにかかる公益上の理由を求めた。
  1. 公益性に疑問の残る「住宅」を使用目的に追加した
  2. 後に使用目的を第三者に賃貸することを前提とした店舗とした
  3. 賃料引き下げの要望に応じた
  1. 原告が当該建物の賃貸人を町がどのように把握しているかを尋ねたところ、坂野は甲23の3ページ目だけであることを回答した。
    甲23の3ページ目より抜粋する。
    蘭越町湯里353-3
    ■■■■■■
    この度、上記家屋、「■■■■■■■
    ■■■■■に賃貸いたしました。
    090-■■■■■
    報告まで

    上記のとおり、テナントの業種も契約期間も賃料も記されていない。

  1. 原告は、文書開示における副町長の同席を求めた
  2. 坂野は、副町長の同席以外の方法を主張した。
  1. 同年同月同日、原告と坂野の電話でのやり取り2回目≪甲35-2(音全て)-4(反訳)
  1. 坂野は、町が当該建物の賃貸を容認した記録は、2021(R3)3年5月13日付け起案文書に記されていることを伝えた。
  2. 原告は、文書を見た上で翌日の文書公開の場で質問することを伝えた。
  1. 2023(R5)年7月7日、原告は、蘭越町役場を訪問し、総務課坂野・西川・中村と面談した。≪甲36‐1(音全て)‐2(音抜粋1)‐3(音抜粋2)‐4(音抜粋3)‐5(音抜粋4)‐6(音抜粋5)‐7(反訳1)‐8(反訳2)‐9(反訳3)‐10(反訳4) ‐11(反訳5)
  1. 甲36‐2(音抜粋1) ‐7(反訳1)において
  1. 当時総務課の西川と中村が作成した電話対応報告書(甲23)について、原告は、西川に対し、Kの依頼に応じて、Kに郵送を約束報告した契約書が蘭越町とKの土地賃貸借契約書なのか、Kとテナントとの建物貸借契約書なのかの説明を求めた。
    西川は、Kの求めに応じたのは、土地賃貸借契約書であると答えた。
  1. 甲36‐3(音抜粋2) ‐8(反訳2)において
  1. 原告は、公文書管理法に基づいて、行政の意思決定を事後検証できるよう記録を残さなければならないにもかかわらず、Kが建物賃貸借契約を蘭越町に打診した際の記録が極端に少ないことを指摘した。
    坂野は、「(野村さんの)想像だからですよ」と回答した。
  2. 原告は、Kが建物賃借人を町に打診するために作成した書類に、屋号も会社名も事業内容も記されていないことの問題を指摘した。
    坂野は、「野村さんの想像で、そうあるべきだというふうに思っている」と主張した。
  3. 原告は、売買契約書がないことなどから、当該建物を前所有者から100万円の売値を提示されたとするKの主張が、狂言である可能性を指摘した。坂野は、原告の指摘に無言を通した。
  4. 原告は、Kが建物の登記ができないことを知っていながら、登記したことを指摘した。
  5. 原告は、当該建物に町が以下の便宜を図っていることを問題提起した。
  • (ア)当初不可であった不動産登記を容認した。
  • (イ)運営収支の提出義務を免除した。
  • (ウ) 住宅不可であったものを可能にした。
  • (エ)ニセコバブルの効果で土地が高騰しているさなかに賃料を下げた。
  • (オ)当初、連帯保証人2名が必要とされたのを、不要とした。
  • (カ)当該公園は、町の費用で手入れが行われるにもかかわらず、Kの建物の専用庭と化しており、公園として機能していない。町は、原告が求めた公園の看板の有無さえ確認しなかった。
  1. 原告が公園駐車場の占有を建物賃借人に注意するよう求めたにもかかわらず、坂野は、建物賃借人ではなく、土地賃借人に注意したと主張した。
  2. 原告は、公園駐車場の占有問題は、占有者(建物賃借人)と蘭越町の間の問題であることから、坂野が建物賃借人に直接注意するよう求めた。
    坂野は、原告の求めに応じ、建物賃借人に直接注意すると約束した。
  1. 甲36‐4(音抜粋3) ‐9(反訳3)において
  1. 原告は、当該建物の転貸を求めるKに対し、町がそれを認める決定をした際に採用した資料「土地賃貸借契約見直し要望に対する見解」(甲19‐2)に作成者名が記されていないことを問題として指摘した。
  2. 原告は、2021(R3)年5月6日作成の起案書(甲19‐2)において、Kが「契約を締結した平成16年当時の総務課長さんが店舗兼住宅敷地として賃貸借契約を結んで住めるようにしてくれた。」と発言を問題視した。
  3. 原告は、2003(H15)年8月13日に当時総務係長だった山内勲の起案書(甲12)で、弁護士の見解を拠り所として、賃貸を許可した条件が満たされていないことを指摘した。
  • (ア) 建築士養成学校が目的であったが、実際の事業が異なっており、運営計画も提出していない。
  • (イ) 連帯保証人2名とされていたが、初回契約書(甲1-2)から直近の契約書(甲19-3)に至るまで、連帯保証人は立てられていない。
  1. 甲36‐5(音抜粋4)‐10(反訳4)において、当該建物の賃貸人が公園駐車場に複数の車両と倉庫2棟を設置することによって、公園の北ブロックが公園機能を失っていることを指摘し、坂野に公園の看板設置を再び求めた。
  2. 甲36‐6(音抜粋5) ‐11(反訳5)において
  1. 原告は、当該町有地の賃貸を打診された弁護士が、Kが解体費用の関係で建物を無償譲渡した可能性を指摘した記録(甲13‐1の3枚目)があることを揚げ、Kの狂言の可能性を指摘した。
  2. アに示した弁護士も指摘した通り、Kが無償で建物を取得したなら、町から年4万円の地代で毎月20万もの賃貸収入を上げ、さらに公園駐車場を不当に占有し、事実上、公園の北側ブロックの公園機能が失われていることを問題視した。
  1. 2023(R5)年10月3日、役場3階会議室において、原告に対し、別案件の公文書開示が実施された。その中で、建物賃借人が放置駐車と構築物により、公園駐車場を占有している問題への言及があった。≪甲37‐1(音声全て)‐2(音声抜粋)‐3(反訳)
  1. 原告は、坂野に対し、建物賃借人の問題行為を建物賃借人に是正を求めるよう求めていたにも関わらず、坂野は、建物賃借人ではなく、建物所有者に連絡したことを明らかにした。
  2. 原告は、原告の求めを何ヶ月間も放置した理由の説明を求めたが、坂野は、明解な理由を答えなかった。
  3. 原告は、蘭越町が弁護士に当該建物の賃貸借への意見を求めた際、弁護士が(蘭越町が)騙されている旨を指摘した記録があることを伝えた。
  4. また、原告は、当該建物の賃貸借を認めるのは、町長・副町長・坂野だけであり、それ以外の職員と町民は、町有財産上の建物で家賃を稼ぐことに理解しないことを指摘した。
  5. さらに、原告は、前掲弁護士の指摘と、状況証拠から、以下の推測を指摘した。
  1. Kは、当該建物の前オーナーに対し、当該町有地を町に返却すれば当該建物の撤去費用がかかるが、当該建物を建物譲渡したなら撤去費用は不要であると持ち掛けて、前オーナーから無償で建物を譲り受けた。
  2. 建物の売買契約書が存在しないのは、アが理由である。
  3. Kが売買金額として主張しているのは、キッチンスペースのほか、2階を増床し、ベッドルームと浴室を増築した費用であることが疑われる。
  4. 建物売買の領収書が存在しないのは、ウが理由である。
  5. Kは月25万円で当該建物のテナント募集をしていたことから、年間240万程度の賃料収入が予測できる。その収入は、2・3年でペイできる収益なので、町はKに土地の返還を求めるべきである、と原告は主張した。
  6. 蘭越町が公園の中で私的に利益を上げる理由は何もないにもかかわらず、町はKの公園内の公有地上での不動産賃貸業を容認していることを原告は批判した。
  1. そして、原告は、蘭越町が町有地上での不動産賃貸のみならず、公園駐車場の占有さえ問題視しないことを批判した。
  1. 2023(R5)年10月16日、原告は、総務課坂野に対し、坂野がテナントに公園駐車場の占有を注意したか否かを電話で確認した。坂野は注意していなかいと答えたので、原告は、10月中に注意するよう求めた。≪甲38(音声記録)≫
  2. 2023(R5)年11月某日、原告は、当該建物が月額賃料25万円でテナントを募集するWEBページを確認した。≪甲20
    なお、甲20は、2024(R6)年1月12日に写しを取得したため、月額賃料20万円に変更されている。
  3. 当該町有地にかかる公文書開示請求4回目
  1. 2023(R5)年5月29日、原告は、蘭越町に対し、当該町有地に関連する文書のうち、前回(2021年12月3日)の開示以降の文書開示を求めた。≪甲24‐1
    原告は、当該開示請求書中の<請求を求める理由>として、以下を示した。

    当該町有地は、湯の里駐車公園と道道をはさんだ公園スペースの中央部に存在する。公園スペースの草刈り等は町の費用で行われているものの、そこが町の土地であることを示す掲示板は置かれていない。

    その公園スペース中央に民間の建物が建つことにより、その公園スペース全体が、まるでその建物の敷地であるかのような状況となっている。建物は、完全予約制のレストランとして使われていた。公益性があったようには感じられない。そして現在、レストランは閉店し、建物所有者は、賃料25万円で建物を賃貸しようとしている。

    ニセコ観光圏を鑑みれば、この土地は、蘭越町にとって極めて重要な場所にあるにもかかわらず、なぜ町が建物建設と登記を許したのか、正当な理由の基、正当な条件で貸し出されていることを期待する。

  2. 2023(R5)年6月12日、蘭越町は、原告に対し、公文書一部開示決定を通知し、開示文書(甲22および甲23)をEメールで送付した。≪甲24‐2
  1. 2023(R5)年6月19日、蘭越町役場1階において、原告は、総務課金沢および坂野に対し、開示された文書に対する質問を行なった。≪甲29‐1(音声全て)‐2(音声抜粋1)‐3(音声抜粋2)‐4(音声抜粋3)‐5(音声抜粋4)‐6(音声反訳1)‐7(音声反訳2)‐8(音声反訳3)‐9(音声反訳4)
  1. 原告は、当該建物のテナントが公園駐車場に複数の車両とコンテナ倉庫を置き、公園駐車場を不当に占有している問題を指摘した。
  2. 原告は、町が当該建物のテナントに公園駐車場を占有しないよう指導することを求めた。
  3. 総務課坂野は、対応の要否を月内に確認すると回答した。≪甲29-3-7
  4. 原告は、総務課米田に対し、開示文書(甲22および甲23)以外の文書を公開するよう求めた。
  5. 総務課米田は、「それは当然」と回答した。≪甲29-5-9
  1. 2023(R5)年6月24日、原告は、当該町有地についての新たな開示請求をおこなった。≪甲27
    なお、甲27には、<請求の経緯>として次の文書が含まれていた。

    2023年5月29日、請求人は、本開示請求と同様の公文書を請求した。しかしながら、蘭越町は、同年6月12日、請求人が閲覧後の写しを求めているにもかかわらず、閲覧をさせずに、次のふたつの文書をEメールで送り付け、それをもって開示とした。

    a. 2022(R4)年2月2日付けの総務課米田純希のEメール

    b. 2022(R4)年10月14日付けの電話対応記録

    なお、請求人は、これまですべての公文書公開請求において閲覧と写しの双方を求めてきた。そして、開示においては、閲覧し、必要箇所のみを撮影してきた。

    そこで請求人は、2023(R5)年6月19日、役場を訪問し、総務課米田純希に上掲a以外に賃貸契約書や建物所有者が賃貸の打診を求める文書が存在することを確認した。

    しなしながら、総務課坂野は、「なお、土地の賃貸契約書の更新については、2021.12.3付け決定通知で開示した契約書第3条第2項で1年ごとに更新しておりますので、今回新たに開示対象となるものはありません。」と示したメール文だけで、新たな文書を公開しなかった。

  2. 2023(R5)年9月27日、原告は、総務課坂野に対し、当該建物のテナントが、公園駐車場に無許可でコンテナ倉庫を設置し、占有していることについて、蘭越町が説明するよう求めるEメールを送った。≪甲28
  3. 2023(R5)年10月3日、蘭越町庁舎において、原告は、総務課渡辺貢課長、坂野、今野と面談した。そのなかで、公園駐車場の占有について、以下に示すやり取りがあった。
  1. 原告:過去に坂野に依頼したテナントへの忠告をしたか?
  2. 坂野:テナントには忠告していない。
  3. 原告:建物所有者(K)ではなく、テナントに忠告するよう頼んだのに、なぜ、建物所有者に言ったのか?
  4. 坂野:テナントには忠告していない。
  5. 原告:占有を止めるよう対処する必要はあるか?
  6. 坂野:ある。
  1. 2023(R5)年10月16日、原告は、総務課坂野と通話し、当該建物のテナントが公園駐車場を占有している問題について、以下の通話をした。≪甲≫
  1. 原告は、坂野に対し、不法工作物の所有者たるテナントに撤去を求めるよう頼んだことについて、どう対応したかを質問いた。
  2. 坂野は、テナントではなく、建物所有者たるKに求めたと主張した。
  3. 原告は、テナントに撤去を求めるよう頼んだにもかかわらず、Kにそれを求めた理由を尋ねた。
  4. 坂野は回答しなかった。
  5. 原告は、坂野に対し、不法工作物の所有者たるテナントに撤去を求めるよう頼んだ。
  1. 2023(R5)年11月21日、原告は、蘭越町役場会議室において、山内勲副町長および総務課坂野と面談した。≪甲39‐1(音全て)‐2(音抜粋1)‐3(音抜粋2)‐4(反訳1)‐5(反訳2)
  1. 原告は、Kが当該建物と新しいテナントと契約する際において、蘭越町に対し、通知した文書は、その内容が不自然であると主張した。
  1. Kと打合せをした記録がない。
  2. Kが蘭越町に送ったFAXには、通知業種も契約期間も賃料も記されておらず、ぽつんと賃借人名だけが記入された文書が送られている。
  1. 原告は、1年毎の賃貸借契約で貸した土地上の建物を土地の契約期間をまたぐ期間で賃貸することは、公有財産の適性利用から望ましくないことを主張した。
  2. なお、原告が64の(1)および(2)の主張の根拠は、当該建物の現賃貸契約書第2条2項に「借主は、本件建物を第三者に使用させ、または本契約に基づく権利を第三者に譲渡しようとする場合、あらかじめ貸主と協議しなければならない」と記されているからである。(甲19-7)同条文が第三者の公益性を蘭越町が推し量るための条項であることは明かであり、Kが賃貸人名のみを通知するだけでは協議したことにならないことから、蘭越町の当該事務の瑕疵は明らかである。
  3. 原告は、Kの要望に沿って、当該建物の契約が変えられたことを問題として主張した。
  1. 原告は、公有の土地を賃貸し、土地賃借人の建築物を認める場合、通常は定期の賃貸契約が締結され、建物は土地賃貸契約の終了と同時に取り壊すことが一般的であることを伝えた。
  2. 山内勲は、「耐用年数があったら、しょうがないんです。壊せとも言えない」と答えた。
  3. 原告が、蘭越町がKの要望を次々に受け入れたことがあまりに多いことを問題として指摘した。
  4. 山内と坂野は、原告の指摘を問題として受け止めなかった。
  1. 原告は、Kが公園内の公有地を年間万円(実際は48510円)で借り、240万円の賃料収入を得ている事態が正常ではないと主張した。
  1. 山内は、態様が異なる事例(公募の末、町が賃貸した店舗)の売り上げを持ち出し、「土地を貸して、その人がどうゆう商売やってんのか、いくら設けてるのかは、知らない話しですよね?」と、反論した。
  2. 原告は、Kに転貸を認めたこと、蘭越町が極端に記録を残さなくなったことを挙げ、山内がそれらを主導したことに対し、山内が問題意識を持っているか否かを問いただした。
  3. 山内は、笑いながら、「こっちはハンコおしてる限りは、いいって、その時は思ってハンコ押しましたよ」と答えた。
  4. 山内と坂野が何度も原告の対応策を聞くので、原告は、Kは十分に稼いでおり、また、現状が公園条例(甲41)と乖離した状態となっていることを理由として、「公有財産の適性利用の観点から、今の状態で収益事業を認める訳にはいかない」ことを理由として、「次の契約のときまでで、契約は終わりにしますよ」とKに伝え、土地を返還させるべきだと言った。
  5. 山内と坂野が黙り込むので、原告が反論や意見を求めると、坂野は「ふ~ん」と言うだけで笑った。山内に対して、原告が現状を作り出した責任を自覚しているかどうかを問いただすと、山内は「(含み笑い)責任みたいなこと言ってますけど、俺の(不明)は悪いことしてると思ってませんから、そのとき。ですから、ハンコおしたんです。」と答えた。
  1. 2023(R5)年11月23日、原告は、コンテナ倉庫の撤去どころか、公園駐車場には、スーパーハウス2棟が増設されていることを確認した。≪甲43
  2. 2024(R6)年春、公園駐車場のコンテナ倉庫とスーパーハウスが撤去された。

第4 事案の概要(住民訴訟に至る経緯)

  1. 原告の当該監査請求以降の地方自治法第242条第1項に基づく住民監査請求の経緯は、以下のとおり。

    日付

    文書名

    作成者

    証拠番号

    2024(R6)1214

    蘭越町職員措置請求書(住民監査請求書)

    原告

    5351-1

    2025(R7)0109

    蘭越町職員措置請求(住民監査請求)補充書

    原告

    5451-4

    2025(R7)0122

    補正通知書

    監査委員

    5552

    2025(R7)0125

    監査請求の補正通知に対する意見書

    原告

    5653

    2025(R7)0130

    監査請求の補正通知に対する意見書に回答

    監査委員

    5754

    2025(R7)0204

    住民監査請請求に対する補正通知の無効等確認および補正書

    原告

    5855

    2025(R7)0210

    住民監査請求却下通知

    監査委員

    5956

第5 責任原因(当該監査請求の却下について)

  1. 補正通知書の違法内容
  1. 2015(R7)年1月22日付け補正通知書は、原告に補正を求めた。しかしながら、蘭越町監査委員らの求める4項目の補正は、いかなる法令・例規・規程にも規定がなく、蘭越町監査委員らが法的根拠なく求めているに過ぎないので、無効とすべきである。
  1. 蘭越町監査委員らが補正を求める根拠としている地方地自法第242条各項には、補正の規定は存在しない。
  2. 蘭越町住民監査請求取扱要綱第4条第1項は、補正の対象は「請求要件に形式的な不備がある場合」と規定している。
  3. 一方、蘭越町監査委員らが補正通知書で補正すべき事項として求めた4項目は、形式的な不備の補正を求めるものではない。
  1. それゆえ、地方自治法第242条第1項を理由として、補正通知書で原告に補正を求めた4項目は理由がないので取り下げられるべきである。とうぜん、補正がなければ請求を却下するとした原告に対する宣告(条件付き却下処分の予約)も無効とされるべきである。
  1. 補正通知書の違法内容(各項について)
  1. 次の理由から、補正通知に補正すべき事項1は失当である。
  1. 原告は刑事事件の立証責任を負う必要はない。
  2. 原告は収集し得る公文書等を取りまとめて提出している
  3. 補正すべき事項1は監査委員らが職権でなし得る「監査」によって明らかにすべきことである。
  4. なお、原告が求めた公文書において、前町長の親戚であるX氏の名前は黒塗りで判別不能である。もし、X氏に聞けば、当時の売買がK氏の主張の通りX氏がK氏を騙したのか、それともX氏の詐欺なのかは、容易に判断できるはずである。あるいは、聞き取るまでもなく、執行機関が保有する文書で、原告に公開しなかった文書のなかにX氏がK氏を騙したのか、それともX氏の詐欺なのかを示すものがあるかもしれない。それらの作業は、調査権および監査権のある監査委員にはできるが、原告にはできない。原告が住民監査を請求した理由はそこにあることを明確にしておきたい。
  1. 次の理由から、補正通知に補正すべき事項2は失当である。
  1. 原告は収集し得る公文書等を取りまとめて提出している。
  2. 補正すべき事項2は監査委員らが職権でなし得る「監査」によって明らかにすべきことである。
  1. 次の理由から、補正通知に補正すべき事項3は失当である。
  1. 補正すべき事項3は監査委員らが職権でなし得る「監査」によって明らかにすべきことである。
  1. 最判平成16・11・25民集58巻8号2297頁によれば、「住民監査請求の対象が特定の当該行為等であることを監査委員が認識することができる程度に摘示されているのであれば,これをもって足りる」との判示がある。また、最判平成16・12・7集民215号869頁なども同旨の判示があり、当該補正通知書の違法性を示している。≪甲60
  2. 当該補正通知書の各項で頻発されている「具体的・客観的に」は、他の判例(多くは監査が実施された後の住民訴訟)における個別具体的なケースに対して使用された言葉である。
    一方、当該監査請求は、当該町有地について、1989年以降のすべての公文書を整理し、証拠の多くを公文書で構成したものである。つまり、原告は、捜査権や監査権のない一般町民が取得し得る「(具体的かつ客観的な)証拠」を提出している。
    それに対し、監査委員らは「具体的・客観的に」との補正を求め、事務局和田が主張≪甲50-1(音声全て)-2(音声抜粋)-3(抜粋反訳)≫する通り、「具体的・客観的」の程度を監査委員らが何の指針も示さず自由に判断できるかのような手法によって、却下をすることが認められるはずがないことは明白である。
    第2「請求の主旨」に記載した第2の1(住民訴訟)違法確認、第2の2(拮抗訴訟)当該監査請求の却下処分の取消し、第3条(拮抗訴訟)第4項(無効等確認の訴え)監査請求の却下処分が無効確認、4条(当事者訴訟)監査請求の却下処分が無効確認、第5条(民衆訴訟)監査請求の却下の無効確認および取消しは、いずれも第6に示した通り、審査請求の却下を予約した補正書が違法あることから、とうぜん、各請求は認められるべきである。
  1. 不当利得返還請求は、懲罰的損害賠償請求として記したものである。日本において、懲罰的損害賠償請求が認められた判例はないが、同種の事犯を防止する抑止力とするために織り込んだものである。なお、「監査」の結果、監査委員らの判断で不当利得返還請求部分の削除するのは、地方自治法第252条5項に基づいて監査委員らが主体的に処理すればよいことを、原告は、住民監査請請求に対する補正通知の無効等確認および補正書(2025年2月4日付)の文書で通知している。

第6 国家賠償請求

  1. 監査委員たる天水さといと向山博の行為について
  1. 天水さといと向山博による補正通知書に対し、原告は、その違法性を「監査請求の補正通知に対する意見書(2025年1月25日付け)」および「住民監査請請求に対する補正通知の無効等確認および補正書(2025年2月4日付け)」で具体的に指摘した。
    それにもかかわらず、天水さといと向山博は、監査請求の却下を実行した。そのことは、当該監査請求を故意に妨害する意図であえて不当な判断をしたか、あるいは、重過失と評価せざるを得ない。その行為は、本来の権限を濫用したものであり、違法な却下であったと言える。
  2. 地方自治法において、監査委員の権限の規定はあるが、責任の規定がないことから、一般的に、民法による賠償責任があるものと解されている。
  3. 以上の理由により、天水さといと向山博の違法行為による損害は、被告蘭越町に対する国家賠償請求の理由となる。
  1. 和田慎一
  1. 和田は、蘭越町議会事務局(監査委員事務局の機能を含む)に出向しているが、身分は蘭越町職員である。和田の給料は被告蘭越町が負担しており、和田はいずれ出向が終了し、執行機関としての被告蘭越町の職に戻ることなどから、当然、給与所得者としての長期的な評価は、蘭越町職員としての評価に縛られる。
    また、一般的に、執行機関は、議会(監査委員)事務局に出向した職員に対し、執行機関の意向を議会や監査委員に伝えてくれる便利な存在であることを期待する傾向が指摘されている。
    同様に、和田が出向終了後の上司となる町長や副町長の意向を受けるか、あるいは意向を忖度した事務処理をすることは、当然にあり得ることである。
  2. 2025年1月31日、蘭越町議会事務局和田慎一は、原告との通話において、当該補正通知書は委員の聞き取りを和田自身が文書化したものであることを認めた。また、和田は、蘭越町住民監査取扱要にも、地方自治法第242条各項にも、「却下」が規定されてないこと、および、満たされなければ却下となるべき「(請求の」要件」が具体的に規定されていないことを認めている。≪甲50-1(音声全て)-2(音声抜粋)-3(抜粋反訳)
  3. 以上の理由により、和田慎一の違法行為による損害は、被告蘭越町に対する国家賠償請求の理由となる。
  1. 原告に対する威力業務妨害
  1. 原告は、蘭越町の公有財産の処分にかかる複数の汚職疑惑について、2020年以降、継続して無償で汚職調査をしている。
  2. 蘭越町の複数の職員は、原告の汚職調査を目的とした公文書開示請求に対し、サボタージュ、論点ずらし、責任転嫁、関係法令の不理解、失態(事務の瑕疵)が明らかになっても謝罪しない、原告の人格批判、弁論機会の不当な制約、無印私文書偽造罪の疑い、暴言などに多様な方法によって、原告の汚職調査に対する妨害が続けられている。
  3. それら原告
  4. に対する蘭越町職員らの行為の総体は、長期間に渡り、複数の職員によって実施されており、組織ぐるみの威力業務妨害(刑法第234条)に相当するものと思料され、原告が受けた損害は、被告蘭越町に対する国家賠償請求の理由となる。
  1. 威力業務妨害の詳細および損害額の算定根拠は、追って弁論する。

以上